最新記事

新型コロナウイルス

日本におけるPCR検査の拒否状況

2020年4月9日(木)16時30分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

――日本でも医療費抑制のため病床削減を促そうとする動きがある。厚生労働省は昨年九月、がんなど特定の診療実績が少ない全国四百カ所以上の公立・公的病院の実名を「再編統合の議論が特に必要」として公表。少子高齢化を見据えて病床数を適正化する「地域医療構想」に基づくものと説明するが、病院や自治体の激しい反発を招いた。

公表から半年後の今月十九日に開かれた厚労省の作業部会では、新型コロナウイルス感染症への対応で公立・公的病院が果たす役割が話題になった。全国自治体病院協議会の小熊豊会長は、公立・公的病院が患者受け入れの中心を担っている現状に触れ「こうした有事の際に対応できるよう、常に余裕を持っている必要がある」と主張した。(ここまで引用)

全くその通りだと思う。日本の大手メディアは、なかなかこのことに注目しようとしていないが(検証を期待しているが)、医療崩壊が懸念され、経路不明感染者が急増していく今日、安倍首相が「余分なので削減しろ」と命じた地方の医療機関の活用は大切なのではないだろうか。削減対象となった医療従事者の協力は不可欠だと思う。

安倍首相は4月7日の緊急事態宣言に関する記者会見で「1日当たり2万件のPCR検査を可能にします!」と高らかに述べ「力強く」約束したが、とても程遠い状況と言わざるを得ない。

感染経路不明の感染者数は検査を増やす以外に抑えられない

日本人が注目しなければならないのは、日々更新される感染者数の内、感染経路不明者が全体の70%~80%を占めており、多い時には88%(4月6日、東京都)という場合さえあるという現実だ。

相談しても検査までたどり着けなかった人の中にも、こういった感染経路不明者が潜在しているだろうし、また無症状感染者も数多く身の周りにいるに違いない。

中国の場合は監視カメラがあり、顔認証と身分証番号によって感染者とその濃厚接触者を追跡していくことができる。だから無症状感染者の割り出しも比較的に容易だ。

日本で感染経路が判明しているのは、ライブハウスなど以外は病院や介護施設などの集団感染の場合が多く、クラスター以外、感染者の追跡ということは基本的にできていない。

したがって、せめて検査のハードルを下げて頂かないと、なかなか感染拡大は抑えられないのではないだろうか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米財務長官、FRBに利下げ求める

ビジネス

アングル:日銀、柔軟な政策対応の局面 米関税の不確

ビジネス

米人員削減、4月は前月比62%減 新規採用は低迷=

ビジネス

GM、通期利益予想引き下げ 関税の影響最大50億ド
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中