最新記事

感染拡大

スペイン、新型コロナウイルス感染4万人突破・死者2700人 スケート場が遺体安置所に

2020年3月25日(水)09時36分

スペイン保健当局は24日、新型コロナウイルスの新規感染者が一晩で約6600人増加したと発表した。1日としては国内で初の感染が確認されてから最多の増加となり、累計では約4万人に達した。写真は遺体安置所に利用されているマドリードのスケート場(2020年 ロイター/JUAN MEDINA)

スペイン保健当局は24日、新型コロナウイルスの新規感染者が一晩で約6600人増加したと発表した。1日としては国内で初の感染が確認されてから最多の増加となり、累計では約4万人に達した。

死者も500人増加し計2696人と、欧州ではイタリアに次いで最も深刻な状況となっている。

新型コロナによる死者が増加する中、首都マドリード市は23日、同市のショッピングモール「パラシオ・デ・イエロ」内にあるスケート場を遺体安置所に転用することを決定した。

また、国内感染者の約14%が医療従事者となっており、防護具が十分に行き渡っていない状況が浮き彫りとなった。

保健緊急警報調整局のフェルナンド・シモン局長は医療現場での防護具の不足に加え、早い段階で小規模な集団感染が医療施設で起きたことが医療従事者の高い感染率につながったと分析した。

局長は、一般市民の間で感染拡大がピークを越えた後も、集中治療室(ICU)の病床の逼迫状態は続くと予想した。

看護師団体SATSEは、マドリードの病院は「崩壊寸前」の状況にあると警告し、早急な支援を求めた。マドリードの医師団体AMYTSは、地元保健当局が医療機関に防護服、マスク、ゴーグルを提供するよう訴訟を提起したと発表した。

スペイン国内の感染者はこれまで、マドリードが約半数を占めていたが、24日公表の集計ではマドリードが全体に占める割合は3分の1弱となっており、全国に感染が拡大している可能性がある。

スペイン政府は一方、新型コロナ危機を背景に中小企業や自営業者が返済できない銀行融資の約80%を対象に政府の保証を付ける支援策を承認。第1弾として200億ユーロの融資保証枠を設けた。

信用保証は、政府が新型コロナ対策として前週に発表した、総額2000億ユーロの企業・労働者支援策の一環。

*情報を更新しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・アメリカ、新型コロナウイルス感染3.3万人・死者400人に倍増 全米の半分近くが外出禁止に
・新型コロナウイルスは恐れを知らない若者にも感染し、重症化する
・日本で新型コロナの死亡率が低いのは、なぜなのか?


20200331issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月31日号(3月24日発売)は「0歳からの教育 みんなで子育て」特集。赤ちゃんの心と体を育てる祖父母の育児参加/日韓中「孫育て」比較/おすすめの絵本とおもちゃ......。「『コロナ経済危機』に備えよ」など新型コロナウイルス関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米5月PCE価格、前年比2.3%上昇 個人消費支出

ビジネス

中国人民銀、経済状況に応じて効果的に政策対応 金融

ビジネス

利下げ今年2回予想、一時停止の可能性も=ミネアポリ

ビジネス

ドイツ政府委、最低時給の段階的引き上げ勧告 27年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 2
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉仕する」ポーズ...アルバム写真に「女性蔑視」批判
  • 3
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事実...ただの迷子ですら勝手に海外の養子に
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 6
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 7
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 8
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 9
    富裕層が「流出する国」、中国を抜いた1位は...「金…
  • 10
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 10
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中