最新記事

感染症

アメリカ、新型コロナウイルス感染3.3万人・死者400人に倍増 全米の半分近くが外出禁止に

2020年3月24日(火)14時25分

米疾病対策センター(CDC)は23日、22日時点での新型コロナウイルス感染者が20日から1万8185人増加し、3万3453人になったと発表した。ニューヨークで撮影(2020年 ロイター/CARLO ALLEGRI)

米国で新型コロナウイルス感染者が4万2000人を超え、少なくとも559人が死亡するなか、感染拡大に歯止めをかけるために外出を規制する動きが全米に広がっている。

先週以降、少なくとも18州の知事が、食料や医薬品などの買い物や病院に行く以外の不要不急の外出を禁じる命令を出した。影響を受けた米国民は全人口の半分近くに上る。「必要不可欠ではない」事業も閉鎖を命じられた。

新型コロナによる死者の4分の1以上を占めるワシントン州も23日、外出禁止令を出した。同州のジェイ・インズリー知事は「これはまだ規模が想定できない人類の悲劇だ。この戦いに勝つために本腰を入れる時だ」と語った。

外出禁止令が先週相次いで発令される前から、学校が休校となり、多くの企業は自主的、あるいは地方当局の命令でオフィスを閉鎖しており、米国経済はあちこちで麻痺(まひ)し始めていた。

カリフォルニア州のニューソム知事は23日、新型コロナウイルス感染者の急増に伴い、患者を受け入れる病床が追加で5万床必要になっていると述べた。

ニューヨークのデブラシオ市長は、人工呼吸器やマスク、その他の医療機器が不足していると訴え、民間人に対しても支援を要請した。

ニューヨーク州ではこれまでに157人が死亡。全米の州の中で最も多い。

新型コロナの感染拡大を受けて米政権と連邦議会が調整を進めている大規模な経済対策は、共和党と民主党の対立で土壇場で迷走している。

米上院は23日、2兆ドルの新型コロナウイルス対策法案の採決に向けた動議を前日に続いて否決した。民主党が、州政府や医療機関向けの支援が少な過ぎるほか、大企業向け支援の制約が不十分などと主張した。

両党の議員らはともに、法案について合意できなければ全米の州や都市、企業に壊滅的な打撃が及ぶとの認識を示している。

ニューヨーク州、ニュージャージー州、イリノイ州の知事らは、連邦政府が協調した行動を打ち出せないでいるために州や地方都市が大混乱に陥り、医薬品などを巡って争う事態さえ起きていると批判した。

ニュージャージー州のフィル・マーフィー知事は23日、CNNに対し「(州は)すべて同じものを探し求めている」と訴えた。

*内容を追加しました。



20200331issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月31日号(3月24日発売)は「0歳からの教育 みんなで子育て」特集。赤ちゃんの心と体を育てる祖父母の育児参加/日韓中「孫育て」比較/おすすめの絵本とおもちゃ......。「『コロナ経済危機』に備えよ」など新型コロナウイルス関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 9

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中