最新記事

フェイクニュース

新型コロナウイルス禍でロシアがフェイクニュースを拡散する?米軍が監視

Military Tracking Russia News Outlets for Coronavirus Disinformation

2020年2月7日(金)15時34分
ジェームズ・ラポルタ、デービッド・ブレナン、ジェニー・フィンク

この文書についてコメントを求めたところ、スプートニクはコメントを拒否し「国防総省によろしく伝えて欲しい」とのみ返答。ズベズダからは返答がなかった。RTは「我々はアメリカのあらゆるオーディエンスを受け入れ、彼らが当社のプラットフォーム上にあるコンテンツを楽しんでくれることを願っている。だが米軍のリソースは、こんな調査よりコロナウイルス対策に使った方が有益だと思わずにはいられない」という声明を寄せた。

新型コロナウイルスは中国・湖北省の武漢を中心に発生し、ロシアを含む28カ国・地域に感染が拡大。これまでに3万1000人以上が感染し、死亡者は600人を突破した。この大半は中国本土に集中しており、ウイルスの封じ込めを狙って湖北省では複数の都市が事実上の封鎖状態にある。

今回米軍が追跡したロシア政府系アカウントでも、やり取りされた情報の大半が新型コロナウイルスに関するものだった。監視対象のアカウントが1月28日から2月3日の調査対象期間中に同ウイルスの感染拡大に言及した回数は567回。「コロナウイルス中国」というハッシュタグは91回使用された。そのほかに多く使われたハッシュタグは「ブレグジット(151回)」、「ロシア(116回)」、「トランプ(70回)」と「中国(70回)」だった。

WHOはパニック防止に専門チーム

最も頻出したキーフレーズも「コロナウイルス」で、同期間中に528回使われていた。2番目に多かったのが「トランプ」の222回、3番目が「ブレグジット」の135回だった。ほかにもコロナウイルス関連のキーフレーズが多く使われており、「コロナウイルスの感染拡大」は119回、「武漢」は110回、「コロナウイルス中国」は87回使われた。

感染への懸念が広がるなか、WHOの感染症専門家シルビー・ブリアン博士は、パニックを防ぐために、WHOとして正確な情報が提供されるように取り組んでいると語った。これはWHOのリスク・コミュニケーションおよびソーシャルメディア部門が担当しており、彼らがネット上の「誤った通説や噂」を追跡して対処しているという。

米軍の文書には、追跡対象のアカウントで最も反響が大きかったツイートのトップ10も列挙されており、やはりその多くがコロナウイルスの感染拡大に関するものだ。

1位は「コロナウイルスの感染拡大を受けてロシアが極東地域と中国の国境を閉鎖」という記事で、インタラクション(「いいね!」やリツイートなどの数)は1万7500件にのぼった。2位は「ロシア国内で初めてコロナウイルスの感染者2人を確認。いずれも中国人」というタイトルで、インタラクション数は6500件だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ

ワールド

ベネズエラ沖で2隻目の石油タンカー拿捕、米が全面封
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 6
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中