焦点:セブン&アイ、加社撤退でも続く「困難な道」 問われる成長

カナダの小売大手アリマンタシォン・クシュタール(ACT)が買収提案を撤回したものの、セブン&アイ・ホールディングスの前に広がる霧は晴れそうにない。写真は都内のセブンイレブン店舗で3月撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Ritsuko Shimizu
[東京 17日 ロイター] - カナダの小売大手アリマンタシォン・クシュタール(ACT)が買収提案を撤回したものの、セブン&アイ・ホールディングスの前に広がる霧は晴れそうにない。主力の国内コンビニエンスストア事業で好調な同業他社に追い上げられる中、独自の成長を遂げられるか。2700円という買収価格に一度目線を合わせた投資家を前に、これまで以上に企業価値向上の成果が問われる局面を迎える。
<プレミアム剥落>
巨額買収提案から1年。遅々と進まない協議に業を煮やしたクシュタールは買収提案を撤回した。買収提案前は1800円程度で推移していたセブンの株価は2000円強の水準でニュースに一喜一憂を繰り返してきたが、17日の取引では、一時2000円を割り込む水準まで下落した。投資家は半信半疑ながら1株2700円という株式公開買い付け(TOB)価格を意識していただけに、プレミアムが剥落した格好だ。
UBS証券シニアアナリスト、風早隆弘氏は買収提案撤回という終わり方は残念だと話す。「結果はどうであれ、もっと本質的な議論ができれば、日本企業のガバナンスの改善が実効性を持ったものだったかという検証ができた」とみる。
三菱UFJeスマート証券チーフストラテジストの河合達憲氏は「クシュタールは交渉の長期化や不透明なビジネスの見通しを含むリスクをこの金額では正当化できないと気付いたのではないか」との見方を示す。「日本では、コンビニエンスストアのビジネスモデルのピークは2―3期前に終了しており、限界に達している。企業間の競争が激化しており、コスト、消費者、メーカーの満足度のバランスをとることは非常に難しい」という。
<苦戦続く国内>
かつて出店競争を繰り広げてきたコンビニエンスストアは2021年以降、4年連続で店舗数が減少している。
業界を取り巻く環境が変化する中で苦戦が目立つのは、かつて圧倒的な強さを誇ったセブンイレブンだ。25年3―5月期の国内コンビニ事業は減収、11%の営業減益となった。一方、ファミリーマートはロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手を起用したおむすびキャンペーンの効果などが寄与し、事業利益が17.9%増、ローソンは同4.2%増で過去最高となるなど、明暗分かれた格好だ。
新規出店競争がなくなり、2社が既存店や商品力の強化に資金を振り向ける中、セブン&アイは成長の源泉を海外事業に求め、国内では、百貨店事業やスーパーストア事業を売却するなど、構造改革に力を注いできた。モーニングスターのアジア株式調査ディレクター、ロレイン・タン氏は「状況が変わるかどうかについては、かなり懐疑的だ。しかし、少なくともポジティブな面としては、経営陣が株主価値向上に向けた計画をより積極的に進めるきっかけになった」と受け止めている。
<北米IPOまでの停戦>
ここ数年、対アクティビスト、クシュタールに割いていた経営資源を本業に振り向けることが可能となり、セブン&アイは成長実現に向けて言い訳ができない状況になったとも言える。UBS証券の風早氏は「投資家は買収提案価格の2700円を忘れることはない。今やっている企業価値向上策を続け、結果を出すことがより一層求められる」と話す。
セブン&アイは、今後の成長戦略の目玉の一つとして、2026年下半期までの北米事業の新規株式上場(IPO)を予定している。IPOするということは、北米事業も買収対象になる。流通アナリストの中井彰人氏は、クシュタールの今回の買収提案撤回を「停戦状態」とみる。IPO後に北米事業にTOBを仕掛ければ、今回の買収提案の半分程度の買収額で、本来欲しかった北米事業が手に入ることになる。「日本の事業を守れることでセブンとも利害が一致する。(セブンとしては)まずは、きちんと上場の約束が果たせるように企業価値を上げることが必要になる」と話している。
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