最新記事

動物

インドネシアで新種の鳥、1度に10種も発見 19世紀の探検家がやり残した地域調査で成果

2020年1月22日(水)19時10分
大塚智彦(PanAsiaNews)

newsweek_20200122_190935.jpg

世界的に注目を集めた新種のオランウータン「タパヌリ・オランータン」 KOMPASTV / YouTube

新種発見相次ぐ動植物の宝庫

また、インドネシアでは2018年にもジャワ島南部などの周辺深海海域で10種以上の新種海洋生物が発見されている。このときの発見の中心となったのはインドネシア科学院(LIPI)と今回の新種鳥類発見と同じシンガポール国立大学(NUS)の研究者たちだった。

ジャワ島南部のインド洋やジャワ島とスマトラ島の間にあるスンダ海峡などの深海で発見・確認されたのは緑色の目を持つヤドカリの仲間、光る目のエビ、細い棘(トゲ)状の甲羅のあるカニ、クモガニ科の新種3種(オレンジ色のカニ、目を保護するための大きな甲羅のあるカニ)などとなっている。

さらに世界的なニュースとなったのは2017年に確認された絶滅危惧種に指定されている人間に最も近い類人猿、オランウータンの新種だ。スマトラ島北部タパヌリ地方でこれまで確認されていたスマトラ・オランウータン、ボルネオ・オランウータンとは異なる新種のオランウータンが確認され、生息地域の地名をとって「タパヌリ・オランータン」と命名され、保護されている。

また、2010年4月にはインドネシア、マレーシア、ブルネイ3カ国があるボルネオ島(マレーシア名、インドネシア名はカリマンタン島)の中心部にある熱帯雨林地帯で123種の新種生物や植物が確認されたことを世界自然保護基金(WWF)が明らかにしている。

このときの発見は新種の植物67種、無脊椎動物29種、魚類17種、カエル5種、ヘビ3種にものぼり、2007年に3カ国が自然保護で合意した「ハート・オブ・ボルネオ宣言」に基づいたボルネオ島中心部約22万平方キロで実施した調査の成果だった。

インドネシアはこうした事例のように自然界での新種の発見が相次いでおり、まだまだ未知の生物、植物が多く存在する可能性が極めて高いことから研究者にとっては魅力の地とされている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アマゾン、3年ぶり米ドル建て社債発行 150億ドル

ビジネス

ドイツ銀、28年にROE13%超目標 中期経営計画

ビジネス

米建設支出、8月は前月比0.2%増 7月から予想外

ビジネス

カナダCPI、10月は前年比+2.2%に鈍化 ガソ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 7
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 8
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 9
    経営・管理ビザの値上げで、中国人の「日本夢」が消…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中