最新記事

企業

「レッドブルを飲んだのに翼が生えない」あなた、代わりに10ドル授けます

RED BULL PAYING OUT TO CUSTOMERS WHO THOUGHT ENERGY DRINK WOULD ACTUALLY GIVE THEM WINGS

2019年8月24日(土)18時15分
K・ソア・ジェンセン

「レッドブル、翼を授ける」のキャッチコピーは世界で広く使われている drial7m1/iStockphoto

<CMでは翼が生えてきているのに実際には生えてこないじゃないか、と憤る人たちに補償金10ドルを支払うと発表したレッドブル(ただしカナダに限る)>

「レッドブル、翼を授ける」のCMで知られるレッドブル。このエナジードリンクを飲めば本当に翼が生えてくると信じていた消費者たちは、虚偽広告だとして集団訴訟を起こした。これに対し、オーストリアの親会社Red Bull GmbH社は総額85万カナダドル(約64万ドル)和解金を支払うと発表した。

16年にこの訴訟を起こしたカナダ人のマイケル・アッターは、レッドブルは製品の効能について誤った情報をうたっていると主張。レッドブルのウェブサイトには、飲んだ人の活力や能力を向上させることを裏付ける「多くの科学的な研究結果」が引用されているが、実際にはコーヒーなどカフェインを含む他の飲料と効能は変わらないという調査結果もある。

集団訴訟の結果、07年1月1日から19年7月23日までにレッドブルを購入した人は、補償金として10ドルを受け取ることができることになった。特設のウェブサイトで、10月14日まで申し込みを受け付けている(ただし、カナダ国外からは不可)。

実は、レッドブルがこうした訴訟を起こされるのは今回が初めてではない。5年前には、同社はアメリカで虚偽広告について同様の集団訴訟を起こされ、総額1300万ドルの支払いで和解している。この時は過去10年間にレッドブルを購入した人は、10ドルまたは15ドル相当のレッドブル製品の引換券を受け取る権利が得られた。

アッターはこの時の和解金を受け取ろうとしたが、カナダ人であるためかなわなかった。そこで彼は、レッドブルに含まれるタウリンの効能は同社が主張するほど高くはないとする調査結果を引用し、自らカナダで提訴。レッドブルは、コーヒーのような他の安価な製品より効果が高いとうたうことで、ケベック州の消費者保護法に違反していると主張した。

レッドブル側は声明で、同社は和解には応じたが「レッドブルのマーケティングは常にウィットに富み、誠実で正確であり続けてきた」としている。また「レッドブル、翼を授ける」という宣伝文句も使い続けている。

レッドブルは1980年代、ディートリヒ・マテシッツがアジアで人気だったエナジードリンクに注目し、欧米向けの変更を施したうえでオーストリアのスキーリゾートで売り出したもの。その約10年後にはアメリカに上陸し、販売実績本数は750億本を超えるまでになった。

ニューズウィーク日本版 AIの6原則
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月22日号(7月15日発売)は「AIの6原則」特集。加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」/仕事・学習で最適化する6つのルールとは


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中