最新記事

統計

主催者200万人・警察33万8千人と食い違う香港デモ参加者数 正しいのはどちら?

2019年6月25日(火)16時45分

世界有数の「金融ハブ」香港では今月、2度の大規模抗議デモが行われ、中国本土への犯罪容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例改正案」の撤回を求める参加者が中心部の通りを埋め尽くした。香港で16日撮影(2019年 ロイター/Tyrone Siu)

世界有数の「金融ハブ」香港では今月、2度の大規模抗議デモが行われ、中国本土への犯罪容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例改正案」の撤回を求める参加者が中心部の通りを埋め尽くした。

参加者の多くが、特別行政府による同改正案によって、司法の独立が脅かされるリスクを懸念していた。

デモ隊の規模は、香港では議論を呼ぶ問題だ。大規模デモの多くについて、警察側とデモ主催者側による参加人数の推計値が大きく異なることがある。参加人数は市民感情のバロメーターとして扱われることが多いため、それ自体が当局と主催者の政治闘争の火種となる。

香港大学民意研究計画(HKUPOP)の鐘庭耀氏は、参加者数の推計が、政治に引っ張られて非現実的なものになり、科学的でなくなっていると嘆く。

「科学と民主主義という不要な緊張関係の板挟みになっている」と、同氏は言う。

香港中心部のような混みあった地域で、群衆の数を正確に推測するのは非常に難しい。その難しさを検証し、警察と主催者によるそれぞれの推計に大幅な開きがある理由を調べた。

香港は、超高層ビルやコンクリートの居住ビルが林立するジャングルであり、世界で最も人口密度が高い地域の1つだ。一部の入り組んだ狭い通りが、大規模デモ参加者の推計を困難にする。だが16日のデモでは、30度を超える暑さと照りつける日差しの中でも、デモ参加者は秩序を保っていた。

6日と16日のデモは、ともに香港最大の平坦なオープンスペースであるビクトリア公園を起点に始まった。

デモ参加者がここに集まり始めたのは午後1時半ごろで、同2時半ごろには行進を開始した。デモに加わる参加者は、午後の間ずっとこの公園を埋め続け、出発して行った。

抗議デモはその後、香港の中でも最も過密な地区である銅鑼湾(コーズウェイ・ベイ)や湾仔(ワンチャイ)、金鐘(アドミラルティ)を通過。その間も、参加者が増え続けた。

デモ参加者が「中国への引き渡し反対。キャリー・ラム(林鄭月娥)行政長官は辞任せよ」と叫ぶ声が、街中にこだました。

デモ隊の先頭が、終点である金鐘地区の添馬(タマル)公園に到着した時には、まだ起点のビクトリア公園を出発していない参加者がいた。約8時間後に最後尾が添馬公園に到着し、行政長官のオフィス近くで抗議活動を続けた。現場には、警棒や透明な盾を装備した警官隊数百人が配置され、デモ参加者に前進をやめるよう訴えた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国、高市首相の台湾発言撤回要求 国連総長に書簡

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 9
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中