最新記事

アメリカ社会

高校の保護者向けに服装規定が必要になった理由

Houston High School Enforces Parent Dress Code

2019年4月25日(木)16時45分
ジェイソン・マードック

こんな格好で来られたら、学校としてもちょっと困る efenzi/iStock

<高校の決断で明らかになった、親たちのありえない格好>

米テキサス州ヒューストンの高校が生徒の保護者向けに服装規定を作った。学校のホームページにも掲載されたこの規定、今週地元メディアに取り上げられてちょっとした騒ぎになっている。

ジェームズ・マディソン高校の校長名で保護者に送られた手紙には、望ましくない服装が具体的に挙がっているが、その内容がすごい。


髪にカーラーを巻いたまま、パジャマ姿、露出の大きいトップスや体の線があらわになるレギンス、シャワーキャップやナイトキャップ、わざと切り裂いた服......

普通は自分の家でなければ見せない姿も混じっているのだ。

「わが校の規則を守れない方は、校内に入れません。帰宅して、学校に来るのにふさわしい服に着替えてください」と、手紙は訴える。「保護者のみなさんは、生徒が最初に見習う教師です......私たちは子供たちが将来成功するよう、良識が身につく教育を行っています」

手紙は、禁止する服装を10項目の箇条書きにしている。以下はその一部だ。

●胸が見えるほど襟ぐりが深い、もしくは露出度が高いトップス

●お尻が見えるほど短いワンピース

●体の線がはっきり見えるスパッツやバストラインを強調する服

●あらゆる種類のパジャマ、室内履き。パジャマや下着、ルームウェアのように見える服装

「私は生徒じゃないのよ」

ソーシャルメディアでは、この方針をめぐってさまざまな意見が飛び交っている。

「学校にはドレスコードを定める権利がある......だけど、私からレギンスをもぎ取ろうとしても無駄よ」

銃規制反対派のスローガン、「私から銃をもぎ取ろうとしても、無駄だ(you pry it from my cold, dead hands)をもじってフェイスブックに投稿されたおふざけメッセージは何千回もシェアされた。

フェイスブックには学校の方針を擁護する投稿もあった。「自分自身も自分の子供もリスペクトして、公共の場ではきちんとした服装をすること。学校であれ職場であれ、その場に相応しい服装を心がけるべきだ」

だがKHOU 11ニュースの取材を受けたドーラ・ブリーディングは言う。「私たちは納税義務を果たしている成人だ。何をすべきか、何を着るべきか、指示される筋合いはない。私たちは生徒じゃない。親だ!」

この論争、しばらく続きそうだ。

201904300507cover-200.jpg

※4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が尊敬する日本人100人」特集。お笑い芸人からノーベル賞学者まで、誰もが知るスターから知られざる「その道の達人」まで――。文化と言葉の壁を越えて輝く天才・異才・奇才100人を取り上げる特集を、10年ぶりに組みました。渡辺直美、梅原大吾、伊藤比呂美、川島良彰、若宮正子、イチロー、蒼井そら、石上純也、野沢雅子、藤田嗣治......。いま注目すべき100人を選んでいます。


ニューズウィーク日本版 AIの6原則
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月22日号(7月15日発売)は「AIの6原則」特集。加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」/仕事・学習で最適化する6つのルールとは


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中