<モディ政権成立後、キリスト教徒への暴力が急増――ヒンドゥー至上主義者の「合法的」攻撃手法とは>

1年前の2018年2月18日、インド南部のタミルナド州でのことだ。プーガル牧師の自宅兼教会で開かれる日曜礼拝には80人ほどの信者が集まっていた。男たちは襟付きの白シャツとズボン。女たちは花柄のサリーを身にまとい、ジャスミンの花を髪に挿し、ぐずる子供を膝に乗せていた。

家の周囲にはインド南部で活発に活動する過激派「ヒンドゥー戦線」のメンバーが100人以上も集まり、サフラン色の旗を振りながら大声で叫んでいた。「インドはヒンドゥー教徒だけのものだ!」

タミル語の祈りもデモ隊の怒声にかき消されるほど。そしてついに15~20人ほどが金属製の扉を押し開けて乱入し、説教中の牧師に詰め寄った。中には10代の若者の姿もあった。

押し入った人々は警官のように強圧的な口調でプーガルに、自治体発行の許可証を見せろと命じた。許可証がないことを知ると、彼らはこんな言葉を浴びせかけた。「ヒンドゥーの名前を持つおまえが、なぜ異国の神を崇拝するのか」

この小さな教会で17年間、礼拝を続けてきたプーガルは当惑した。「何も悪いことはしていない。信教の自由は法律で保障されているのに、なぜ?」

ナレンドラ・モディ首相率いるヒンドゥー至上主義政党BJP(インド人民党)が14年の総選挙で勝利してから17年までの間に、過激なヒンドゥー至上主義者によるヘイトクライムは28%も増えたとされる。ネットメディアの普及で情報が増えたとか、イスラム教徒への暴力も含まれるといった事情を差し引いても、かなりの増加だ。

昨年のクリスマス休暇中だけでもキリスト教徒への暴力行為が25件も発生している。それでも事件を報じるのは小規模なキリスト教系メディアだけだ。

11年の国勢調査によると、インド国民に占めるキリスト教徒の割合はわずか2.3%だが、人数で見れば約2800万人に上る。

筆者たちが5つの州で取材した牧師、一般市民、弁護士、活動家など26人によれば、ヒンドゥー至上主義者は従来からの暴力的な攻撃に加えて、最近では地方の行政を動かしてキリスト教会を閉鎖に追い込む戦略を取っている。

「自治体の対応も巧妙になっている」と言うのは、キリスト教徒向けの電話相談を行うユナイテッド・クリスチャン・フォーラム(UCF)のマイケル・ウィリアムズ理事長だ。「棍棒を振り回す昔ながらの手法に加え、行政手段も活用している」

繰り返される教会襲撃