最新記事

韓国事情

海外投資、海外移住、国籍放棄......海外に目を向ける韓国の資金と人材

2019年1月7日(月)18時40分
佐々木和義

韓国では海外移住を望む人も多い AlxeyPnferov-iStock

<韓国では、海外に投資する資金の海外流出や産業の空洞化に加えて、人材の海外流出も加速している>

2018年11月と12月、韓国ウリ銀行が日本の不動産投資セミナーを開催した。11月にソウルで開催されたセミナーは資産規模3000万ドル以上の「スーパーリッチ」が主な対象で、日本の景気は長期的に回復傾向を見せるという予測など、日本の商業用不動産への投資に関する説明が行われた(MK NEWS)。

東京の時価10億~20億円台の中小規模のビルに投資家の関心が集まっており、2018年第1四半期の日本の不動産への直接投資は、2017年1年間の投資額に迫る勢いだった。

資産家の海外不動産投資

ソウル江南地域のオフィス物件は投資額に対する収益率が3%程度まで落ちているが、東京は10%近い収益も可能である。

韓国は賃貸不動産の入居者を高額な保証金を支払えるかどうかで審査する。短期間での退去者や家賃回収リスクもある。一方、日本は周到な事業計画に基づいて長期で入居する企業が多く、家賃回収や空室のリスクは小さい。サムスンジャパンプロパティ不動産投資信託の直近1年間の収益率は11.61%で、ハンファン資産運用の日本の不動産投資信託も10%前後の収益率をあげている。

スーパーリッチはベトナムの不動産にも注目している。韓国内の不動産投資は規制が多いが、ベトナムの不動産は税率が低く、規制も少ない。ベトナムに投資した'スーパーリッチ'は韓国の不動産は規制が厳しい上、不動産売買が少しでも頻繁になるとすぐに税務調査を受けるといい、所有していたビルの売却後に3か月間の税務調査を受けた資産家もいる。

海外に投資する中小企業

サムスンやポスコなど生産拠点を中国からベトナムに移す大企業が増えているが、中小企業もベトナムに注目している。仁川のスマートフォン部品メーカーは、ベトナムに現地法人を設立し、工場の移転作業を進めている。工場が完成次第稼働を開始したい考えで、仁川の第2工場を売却した(中央日報)。

釜山市の靴メーカーも韓国内の工場を閉鎖し、現在稼働しているのはベトナム工場だけという。閉鎖に伴い従業員160人に退職勧告を行っている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエル、ソマリランドを初の独立国家として正式承

ワールド

ベネズエラ、大統領選の抗議活動後に拘束の99人釈放

ワールド

ゼレンスキー氏、和平案巡り国民投票実施の用意 ロシ

ワールド

ゼレンスキー氏、トランプ氏と28日会談 領土など和
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    赤ちゃんの「足の動き」に違和感を覚えた母親、動画…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中