最新記事

AI

米国防総省が「昆虫兵器」の研究を募集、研究助成金100万ドル

U.S. Military Thinks Insects May Be Key to New AI

2019年1月16日(水)16時55分
トム・オコーナー

小さな脳で生きる小さな羽虫にはAI兵器開発のための秘密が隠されている、と米国防総省は考えている Egor Kamelev/Pexels/Defense Advanced Research Projects Agency

<昆虫の「極小脳」をAI兵器に応用したい米軍関係者だが、その帰結は>

米国防総省の研究部門であるDARPA(国防高等研究計画局)は、AI(人工知能)の次の技術革新のカギになるのは昆虫だとして研究している。

米軍はかなり以前から、ミサイルシステムや蚊の大群のように襲いかかるドローンなど新たなAIの応用実験をしてきたが、最近は自然の複雑を理解して戦略に役立てることに力を注いでいる。一方、DARPAは1月4日に告示した研究テーマ募集のなかで、「空を飛ぶごく小さな虫の驚くべき計算能力など、新たなコンピューターの枠組みと戦略を引き出す方法や革新的な基礎研究コンセプトを募集する」と述べた。

昆虫の「極小脳」に学べ

「小さな昆虫たちは、進化の過程で徹底的な小型化とエネルギーの効率化を進めてきた。なかには数百のニューロンしか持たないのに基本的な機能を備えている昆虫もいる」と、その概要には書かれている。

DARPAは1月8日のツイートで、「小さな昆虫の高度に統合された感覚系と神経系の理解が、より小型で軽量かつ電力効率の良いAIシステムの開発にどう役立てられるか」を見極める研究を「マイクロブレイン(極小脳)」プロジェクトと呼んでいる。

このプロジェクトは、2月4日まで応募を受け付けている。昆虫の脳とその意思決定機能をマップ化する能力があると認められて採用された者には、100万ドルが提供される。DARPAの「人工知能探索(AIE)」プログラムの一環だ。DARPAの広報担当エリック・バターボーが「エアフォース・マガジン」に語ったところによれば、AIEプログラムは「与えられた18カ月以内に、研究者らが新たなAIコンセプトの実現を目指す、リスクも高いが報酬も大きい一連のプロジェクトで構成されている」という。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

NATO事務総長の戦争準備発言は「無責任」、ロシア

ワールド

米H─1Bビザの10万ドル申請料、差し止めへ20州

ビジネス

中国、消費喚起へビジネス・金融システムの連携強化求

ビジネス

大企業・製造業の業況判断DI、3期連続の改善=12
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中