最新記事

中国

習近平の狙いは月面軍事基地──世界で初めて月の裏側

2018年12月11日(火)14時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

さらなる展開が待っているが、その先は『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日発売)で詳述した。

日本は中国の現実を直視せよ

安倍首相は中国との協力を強化したいと習近平に誓っているが、「中国への協力」が、結果的にどれだけ恐ろしい未来に手を差し伸べているのか、この現実を見るべきなのである。アメリカを凌駕しようと様々な戦略を断行している習近平は、安倍首相が差し出した協力の手を「しめしめ、ようやく陥落させたぞ。こちらの謀に乗ってきた」とほくそ笑んでいるだろう。
 
日本人の目も曇っている。曇ったまま、耳目に心地よい情報のみを掬い上げ、真実から目をそらすことを好んでいる。
 
先の戦争時代、大本営が流す「皇軍は各地で勝ち続けています!」というニュースに洗脳されて惨敗した大日本帝国と、現在の日本の精神的構図は、あまり変わらない。こうして日本は負けていくのだという現実をまざまざと見せつけられている思いだ。
 
戦後、あれだけ見事に復興成長した日本は、中国の戦略に乗ってしまい、1992年の天皇訪中まで実現してしまって、今では完全に日中の力関係が逆転している。それまでは圧倒的に中国を凌駕していた日本のGDPは、2010年を境に急落し、中国の3分の1にまで下落している。
 
これからの日中逆転現象は、経済力においてだけでなく、政治力や軍事力においても加速していくだろう。その中国にいま日本は、又もや手を貸そうとしているのである。
 
まだ生まれたばかりだったから、先の戦争では何もできなかった分、今は「中国の真相を直視せよ」という警鐘を鳴らし続けるつもりだ。このコラムも、その警鐘の一つである。
 
なお、イーロン・マスクは、習近平の母校である清華大学経済管理学院顧問委員会のメンバーの一人として、習近平と非常に親密で、反トランプ色を強めている。

endo2025.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

この筆者の記事一覧はこちら≫

ニューズウィーク日本版 トランプvsイラン
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月8日号(7月1日発売)は「トランプvsイラン」特集。「平和主義者」の大統領がなぜ? イラン核施設への攻撃で中東と世界はこう変わる

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イラン、来週オスロで核協議=報道

ビジネス

ユーロ圏インフレリスク、下向きを示唆=ベルギー中銀

ワールド

ガザ停戦交渉、ハマスは戦争終結保証を要求 イスラエ

ビジネス

米貿易赤字、5月は18.7%増の715億ドル 輸出
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 6
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 7
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 8
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 9
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 10
    「コメ4200円」は下がるのか? 小泉農水相への農政ト…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 8
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 9
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
  • 10
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中