最新記事

事件

ジョン・レノン殺害犯の10回目の仮釈放申請を却下、そのやり取りが公開される

2018年11月19日(月)18時40分
松丸さとみ

今年8月に10回目の仮釈放申請を行なったマーク・デイビッド・チャップマン REUTERS

<ジョン・レノンを射殺した男、マーク・デイビッド・チャップマンは、現在、無期刑に服しているが、今年8月に10回目の仮釈放申請を行い、その際のやり取りがこのほど公開された>

「確実に死ぬため」殺傷能力の高い銃弾を使用

世界中のビートルズ・ファン、そしてジョン・レノンのファンが40年近く憎んでいる人物がいる。1980年12月8日に、米ニューヨークのレノンの自宅「ダコタ・ハウス」前でレノンを射殺した男、マーク・デイビッド・チャップマンだ。現在、無期刑に服しており今年8月に10回目の仮釈放申請を行ったが、その際のやり取りがこのほど公開された。なお、申請は8月のうちに却下されている。

仮釈放審議会でのやり取りを明らかにしたのは、チャップマンが服役中のニューヨーク州ウェンデ刑務所。63歳になったチャップマンは、「20年から終身まで」の無期刑の判決を受けており、2002年からこの刑務所で服役している。審議会では、ジョン・レノンを射殺したことについて「年々、恥の念が強くなる」「30年前は恥じているとは言えなかったが、今は後悔の念が何たるかを理解できる」と話したといい、英ガーディアン紙は「後悔の念を口にした」と報じている。

チャップマンは事件のあった日、殺害しようと声をかける数時間前に、レノンにサインをもらっていた。その際のレノンには「信じられない」ような対応をしてもらったとチャップマンは振り返っている。実際に殺害を実行する前には、心の中で「アルバムも手に入ったじゃないか。見てみろよ、彼(レノン)がサインしてくれた。もう家に帰ろう」と考えたことを覚えている、と述べた。とはいえ、「ただ家に帰るなんてあり得なかった」と加えている。

ガーディアンによると、チャップマンがレノンを殺害した動機は、有名になりたかったから。レノンに憎しみを抱いていたわけではなかったと述べているという。また、殺傷能力がより高い「ホローポイント弾」を使用した理由については、レノンが「確実に死ぬため」だったとしつつ、「犯行直後は、彼が苦しまなかったかが気になった」と話した。

事件時チャップマンは、銃に装填されていた5発全てを発砲している。うち4発がレノンに命中し、レノンは搬送された病院で死亡が確認された。出血性ショック死だった。

ヨーコ、ジュリアンとショーンの身の安全を懸念

審議を行ったニューヨーク州仮釈放委員会は申請を却下した理由として、もし認めてしまうと、チャップマンの犯罪の深刻さを軽減してしまうこと、また、怒りにかられたり復讐したりすることを目的に、または自分の知名度を上げようとして、チャップマンに危害を加えようとする人がいるかもしれないことなどを挙げた。

仮釈放審議会を控えた8月15日や審議会当日の8月22日には、ダコタ・ハウスの正面にあるセントラル・パークの「ストロベリー・フィールズ・メモリアル」で、仮釈放の申請を却下するよう求めるファンの集会が行われていた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米陸軍、ドローン100万機購入へ ウクライナ戦闘踏

ビジネス

米消費者の1年先インフレ期待低下、雇用に懸念も=N

ワールド

ロシア、アフリカから1400人超の戦闘員投入 ウク

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、11月速報値は約3年半ぶ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 9
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 10
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中