利下げ巡りFRB内で温度差、経済リスク綿密に討議=12月FOMC要旨
写真は米連邦公開市場委員会(FOMC)後に記者会見する連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長。10日撮影。REUTERS/Kevin Lamarque
Howard Schneider
[ワシントン 30日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が30日に公表した12月9─10日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、足元の米経済を巡るリスクを巡り綿密な討議を重ねた末に0.25%ポイントの利下げを決定していたことが分かった。
FRBは同FOMCでフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、3.50─3.75%とすると決定。利下げは9月と10月に続き3会合連続だったが、決定は9対3だった。前回会合に続き、金融政策の引き締めと緩和という逆方向でFOMC内の意見の相違が見られた。
会合後に公表された金利・経済見通しでは当局者6人から利下げに明確に反対する姿勢が示され、このうちFOMCで投票権を持つ2人は反対票を投じた。
議事要旨によると、利下げに賛成した参加者からも、米経済が直面するさまざまなリスクを踏まえると「政策金利誘導目標レンジを据え置くことも支持できた」との認識が示されるなど、決定は微妙なものだった。
ただ「大半の参加者」は最終的に利下げを支持。一部の参加者は、雇用創出の鈍化を受け「労働市場の安定に寄与する」先行的な戦略として、利下げは適切だと主張した。
同時に、一部の参加者はFRBが2%とするインフレ目標に向けた「進展が停滞している」との懸念を表明。「今回の会合で利下げを決めた後も、一定期間はFF金利誘導目標レンジを据え置くことが適切になる」との見解も示された。
金利が低下し、投資や支出を抑制も促進もしない中立水準に近づくにつれ、当局内では追加利下げ幅を巡る意見の相違が強まっている。経済見通しでは2026年は利下げが1回のみと予想される一方、声明では、インフレが再び鈍化するか、もしくは失業率が予想以上の悪化を示す新たなデータが示されるまで、当面は政策金利の据え置きを続ける可能性が高いことを示唆している。
43日に及んだ政府機関の一部閉鎖による公式データの遅延や欠如が、引き続き見通しや当局者の見解に影響を与えている。利下げに反対あるいは懐疑的だった当局者の一部は「次回会合までに労働市場やインフレに関するかなりのデータが発表され、利下げの是非を巡る判断に役立つだろう」との見解を示した。
次回FOMCは26年1月27─28日に開催される。市場では、政策金利が据え置かれるとの観測が強い。





