最新記事

日本社会

東大生の親の6割以上は年収950万円以上

2018年9月5日(水)16時10分
舞田敏彦(教育社会学者)

東大をはじめとした有力大学に入るには、幼少期からの塾通いや私立一貫校在学など、多額の教育投資が求められる。東大合格者の半数以上が国・私立高校の出身者だ。とりわけ私立一貫校が有利なルートだが、それを利用するには費用がかかる。

maita180905-chart02.jpg

<図2>に見られるように、私立小学生の62.4%、私立中学生の51.9%が年収1000万以上の家庭の子弟だ。私立小学生と東大生の家庭の年収分布が近似しているのは偶然ではない。

早期受験は、親が子に富や地位を「譲渡」するルートとして機能している面もある。あからさまな財の贈与ではなく、「当人が学校で頑張った結果だ」と理屈づけもしやすい。90年代初頭に、私立高校からの東大入学者の枠を制限したらどうか、という議論があった。当時から、こうした見えざる「不平等」は問題視されていた。

現代の学校は、3つの社会的機能を果たしている。子どもを社会的存在に仕立てる「社会化機能」、社会の適所に適材を配置する「選抜・配分機能」、選抜の結果を人々に納得させる「正当化機能」だ。社会的地位が「生まれ」で決まる場合、人々の不満は大きくなるが、学校での(フェアな)競争の結果であれば受け入れられやすい。

しかし学校での競争は100%公正なものではない。有力大学の学生の家庭環境から推測されるように、業績主義の衣をまとった属性主義が作用している。それを正当化するのは、既存の格差の維持・再生産に寄与することと同じだ。学校の逆機能(病理)に他ならない。

目を凝らして、現代学校の現状を観察する必要がある。

<資料:東京大学『学生生活実態調査(2016年)』
    文科省『子供の学習費調査』

ニューズウィーク日本版 イラン革命防衛隊
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月24号(3月17日発売)は「イラン革命防衛隊」特集。イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン無力化すれば原油価格は大幅に下落、トランプ氏

ビジネス

ベトナム、4月以降減便も イラン戦争で航空燃料不足

ワールド

トランプ氏訪中巡り米と協議 ルビオ長官の入国容認示

ビジネス

インド、2月の貿易赤字縮小 中東緊迫で供給懸念も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 3
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングアップは「2セット」でいいのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 6
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 7
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    ぜんぜん身体を隠せてない! 米セレブ、「細いロープ…
  • 10
    50代から急増!? 「老け込む人」に共通する体の異変【…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中