最新記事

東南アジア

全長7mの巨大ヘビが女性を丸のみ インドネシア、被害続発する事情とは

2018年6月18日(月)17時30分
大塚智彦(PanAsiaNews)


インドネシア南東スラウェシ州の女性が行方不明になり、全長7mの巨大ヘビに丸のみにされていたことが判明した。*衝撃的な画像があります News Today / YouTube

ニシキヘビは大きいもので体長が6~7メートルに達するが、人間を丸のみにすることは稀。通常は野生動物の山羊や野犬などを襲って、締め付けて窒息死させてからじっくりと飲み込み、体内で時間をかけて消化するという。

スラウェシ島の2件の事件はいずれも畑や農園で人間がヘビに襲われるという共通点がある。警察などによるとヘビが生息する自然環境が開発などで荒らされ、近年は猿、野犬、イノシシなどが集まる農園に餌を求めてヘビが現れはじめており、そこにたまたま居合わせた人間が襲われた可能性があるという。

舞台でヘビに噛まれ死亡した歌手も

2016年4月3日、ジャカルタ郊外のカラワンで行われたインドネシアの演歌ともいうべき「ダンドゥット」の女性歌手、イルマ・ブレさん(29)のコンサートは開始早々からノリノリだった。そして2曲目を歌っていたイルマさんが舞台にあった演出用のキングコブラの尾を誤って踏んでしまった。

驚いたコブラは反射的にイルマさんの太腿に噛みついた。コブラの調教師が解毒剤をすぐ飲むようにイルマさんに勧めたものの、ステージを重視したイルマさんはこれを拒否し、コンサートを続けた。

ところが噛まれて約45分後、イルマさんはステージでおう吐と痙攣(けいれん)を起こして倒れてしまう。病院に慌てて運ばれたもののすでに手遅れ状態でイルマさんは死亡してしまった。その様子は聴衆の携帯に記録されており、悲劇がまたたくまにインドネシアのダンドゥットファンに広がり、深い悲しみに包まれた。

イルマさんはヘビを使ったパフォーマンスをステージでよく行っており、今回も演出としてキングコブラがステージに置かれていたという。

2017年11月22日にはジャカルタ南郊のボゴールからジャカルタに向かう通勤電車の客車内の網棚に約1メートルのヘビがいるのが見つかり、乗客がパニックになる事件が発生した。

通報を受け最寄りの駅に緊急停車した車内では乗客、警備員らがしり込みする中、一人の若い男性が手づかみで尾をつかんでヘビを捕獲、頭を床に力いっぱい打ち付け、ホームに放り出し事なきを得た。その様子も乗客が携帯電話の動画で撮影し、ソーシャルネットワークにアップされた。


通勤電車の網棚にいたヘビを退治する青年 The Star Online / YouTube

警察では乗客が網棚に置いた荷物からペット用のヘビが逃げたし、網棚でとぐろを巻いていたものとみている。

その昔、ジャカルタ中心部のチキニにある日本人向けカラオケ店で従業員が持ってきたヘビが逃げて店内で行方不明になる事件が起きるなど、インドネシアでは大小問わず、ペット用ヘビから野生の猛毒ヘビ、巨大ヘビまであらゆるヘビが日常の生活とは無縁ではない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米サステナブルファンド、1─3月は過去最大の資金流

ビジネス

北京市、国産AIチップ購入を支援へ 27年までに完

ビジネス

デンソー、今期営業利益予想は87%増 合理化など寄

ビジネス

S&P、ボーイングの格付け見通し引き下げ ジャンク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中