最新記事

アメリカ社会

世界でもっとも安全でも「不人気」なトランプタワー 火災で死亡の美術商が露呈

2018年4月17日(火)15時40分

4月12日、米ニューヨーク中心部の高層ビル、トランプタワーで7日発生した火災によって亡くなったトッド・ブラスナーさん(67)は、火元となった同タワーの高級マンションに20年来住んでいた。写真は同タワー前を警備する警官。10日撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

米ニューヨーク中心部の高層ビル、トランプタワーで7日発生した火災によって亡くなったトッド・ブラスナーさん(67)は、火元となった同タワーの高級マンションに20年来住んでいた。

トランプ氏が2016年の大統領選に出馬表明して以来、美術ディーラーのブラスナーさんにとって、住み慣れたこのビルが、耐えがたい場所へと変わってしまっていた。

プラスナーさんの自宅マンションは、大統領がニューヨークにおける自宅とビジネス本拠地を置く同タワーの50階にあったが、売却に苦戦していたという。これは、かつて贅をつくした高層ビルの代名詞だったこのタワーの魅力が、いかに色褪せてしまったかを示している。

共和党大統領の名前を冠したこの5番街の高層ビルは、民主党支持者が大勢を占めるこの街で、多くのニューヨーカーからの寵愛を失った。また、新たな高級マンション建設によって、超高級住宅市場における存在感も低下していた。

トランプタワーのマンション価格下落スピードは、同じレベルの物件より大きいと不動産業者は指摘する。

ブラスナーさんは、常駐する武装警備員や大統領警護隊(シークレット・サービス)に嫌気がさし、約100平方メートルある自宅マンションの売却を決意したと、友人らは地元紙などに語っている。7日の火災で、ブラスナーさんが所有していたビンテージのギターや、芸術家アンディ・ウォーホールの作品も焼失してしまった。

不動産譲渡証書によると、ブラスナーさんは1996年に52万5000ドル(約5650万円)でこの部屋を購入。だが、2015年に個人破産を申告した際に値付けされた250万ドル(約2.7億円)では、買い手がつかなかった。

不動産サイトStreetEasyによると、同じような広さのトランプタワーの物件が「即売希望の特別価格」との宣伝文句で売りに出され、昨年12月に180万ドルで売却された。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ADP民間雇用、9月ー3.2万人で予想に反し減少

ビジネス

ステーブルコイン、決済手段となるには当局の監督必要

ワールド

ガザ支援船団、イスラエル封鎖海域付近で船籍不明船が

ビジネス

ECB、資本バッファー削減提案へ 小規模行向け規制
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけではない...領空侵犯した意外な国とその目的は?
  • 3
    【クイズ】身長272cm...人類史上、最も身長の高かった男性は「どこの国」出身?
  • 4
    なぜ腕には脂肪がつきやすい? 専門家が教える、引…
  • 5
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 6
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 7
    通勤費が高すぎて...「棺桶のような場所」で寝泊まり…
  • 8
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 9
    10代女子を襲う「トンデモ性知識」の波...15歳を装っ…
  • 10
    アメリカの対中大豆輸出「ゼロ」の衝撃 ──トランプ一…
  • 1
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...「文学界の異変」が起きた本当の理由
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 9
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 10
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中