最新記事

アメリカ社会

世界でもっとも安全でも「不人気」なトランプタワー 火災で死亡の美術商が露呈

2018年4月17日(火)15時40分

ニューヨーク・イーストサイドの高級住宅地に古くから立つ高級ビルの多くは、より高層で高価な新築ビルが急増したことを受けて、不動産価値が下落している。

それでも1983年に完成したトランプタワー物件の下げ幅は市場平均より大きいと、不動産ブローカーや市場アナリストは指摘する。

「トランプ氏の立候補と大統領就任は、明らかに(トランプタワーの)不動産価値にマイナスに影響している」と、不動産仲介業ブラウン・ハリス・スティーブンスのウェンディ・マイトランド氏は言う。

同社は昨年、トランプタワーでファッション業界の顧客が所有していた、3ベッドルームの部屋を750万ドルで売りに出したが、買い手がつかなかった。

とはいえ、トランプ大統領の自宅と同じビルに住宅を欲しがる外国のバイヤーは多いと、不動産業者は語る。同タワーの不動産を管理するトランプ・オーガニゼーションも、トランプタワーが依然として世界で最も有名な不動産の1つだと主張する。

「(トランプタワーには)一流の住人がおり、世界の象徴的な存在であり続けている」と、同社広報担当のアマンダ・ミラー氏はメールで回答した。

それでも、ニューヨークの不動産サイトCityRealty.comによると、同レベルのミッドタウン・イースト・サイドの物件の下落率が8%にとどまる中、トランプタワーの1平方フィートあたりの価格は30%下落している。

同じくニューヨーク中心部にあり、トランプタワーに似ているとされる1975年築のオリンピックタワーは、不動産価格が2015年以降で21%下落。同期間に、新築ビルも含めた付近の不動産価格が29%上昇したのとは対照的だ。

トランプタワーでは、「現在22部屋が売りに出ており、そのこと自体が状況を物語っている」と、前出のマイトランド氏は話す。2015年の売り出し物件数は、その半数程度だったという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メラニア夫人、プーチン氏に書簡 子ども連れ去りに言

ワールド

米ロ首脳、ウクライナ安全保証を協議と伊首相 NAT

ワールド

ウクライナ支援とロシアへの圧力継続、欧州首脳が共同

ワールド

ウクライナ大統領18日訪米へ、うまくいけばプーチン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 10
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 6
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 7
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 8
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 6
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中