最新記事

サイエンス

オーロラが大量発生、原因は10年ぶりの巨大な太陽フレア

2017年9月12日(火)17時20分
メガン・バートルズ

太陽フレアが大気圏に降り注ぐとオーロラができる(写真は先週のフィンランド) Alexander Kuznetsov-REUTERS

<太陽活動活発化の影響で極地以外のミシガン州やウィスコンシン州などでもオーロラが観測され、世界のインスタグラマーたちが腕を競った>

ハリケーンに山火事、巨大地震。ここ最近、人類は自然災害に翻弄され続けている。しかし先週は、息をのむような美しい姿を見せてくれた。しかも、普通ならありえないような低緯度まで!

【参考記事】【写真特集】土星探査機カッシーニがくれた贈り物----使命終え大気圏突入

オーロラは通常、極地周辺でしか見られない。緯度的には、北半球のアラスカやスカンジナビアあたりだ。しかし先週は、太陽活動が活発化した影響を受け、ミシガン州やウィスコンシン州などでもオーロラが観測された。各地でオーロラが大量発生したのは、太陽の表面で大規模な爆発現象「フレア」が起きたのが原因だ。たとえれば、太陽でハリケーンが発生したようなものだ。

オーロラが発生する仕組みを説明しよう。地球から見ると、太陽は安定して見える。東から昇り、空を横切り、西へと沈んでいくその姿は、まるで安定して空を照らす超強力な電球のように見える。しかしそれは、地球と太陽の間に横たわる1億4900万キロメートルの距離がもたらす錯覚に過ぎない。

特殊な望遠鏡を太陽に向ければ、その錯覚は一気に吹き飛び、太陽が内部でいかに激しく活動しているかが見えてくる。太陽は恒星だ。つまり、基本的には、膨大な熱量を持つ物質が、巨大な球状の塊になっている。それだけエネルギーが渦巻いていれば、表面で時々爆発が起こったりするのは避けられない。

【参考記事】宇宙からのメッセージ!? 11光年先の惑星から謎の信号

それは、太陽が巨大な磁場によって形成されているためだ。この磁場が、プラズマと呼ばれる超高温で電離した粒子を拘束しており、プラズマが太陽の外層を形成している。そして、太陽の磁場は11年周期で完全に反転する。前回の反転は4年前に起きた。私たちの生活に欠かせない太陽は、大人しく安静期に移行するつもりはないようだ。

Goodnight

Ryan Stephensさん(@ryanstephensphoto)がシェアした投稿 -

強い磁場がプラズマガスの対流を妨げたところでは、周囲よりも温度が低い「黒点」が出現する。こうした黒点が、さまざまな爆発現象の爆心地となる。

【参考記事】人類共通の目標に大きな一歩、NASAが地球と似た惑星を7つ発見

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECBの次回利下げ、9月より後になる公算=リトアニ

ワールド

トランプ氏、日本に貿易巡る書簡送付へ 「コメ不足な

ワールド

米政権がロス市提訴、ICE業務執行への協力制限策に

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック最高値更新、貿易交
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引き…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    飛行機のトイレに入った女性に、乗客みんなが「一斉…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中