最新記事

ショウビズ

劇場ファーストこそ映画? カンヌ映画祭、今年は映画界とNetflixが激突!

2017年6月6日(火)18時17分
杉本あずみ

カンヌのレッドカーペットに並んだボン・ジュノ監督とアン・ソヒョン、ティルダ・スウィントンら出演者たち REUTERS/Jean-Paul Pelissier

<地中海に面した南仏カンヌで今年も華やかに映画祭が開催された。最高賞のパルム・ドールはリューベン・オストルンド監督の「ザ・スクエア」が受賞したが、一番話題を呼んだのは映画業界以外の企業がプロデュースした作品だった>

今年第70回を迎えた「カンヌ国際映画祭」が、5月28日に幕を閉じた。毎年、その映画祭らしからぬスタイリッシュなポスターで話題となるカンヌ国際映画祭。今年は、70という数字の中央に真っ赤なクラウディア・カルディナーレがクルリと回転ジャンプししているような躍動感あふれるビジュアルになっている。

FestivaldeCannesTwitter.jpg

この真っ赤なポスターのように、今年のカンヌ映画祭も真っ赤に燃えるかの如く様々なホットな話題が目白押しだった。なかでも、世界的に注目を浴びたのがコンペティション部門に招待された映画「オクジャ」についての論争だろう。日本でも名前が知られている韓国のボン・ジュノ監督4年ぶりの新作だ。

【参考記事】セウォル号、接待禁止に台風直撃 韓国社会の問題が噴出した釜山映画祭

作品は、韓国の山奥で家族のように一緒に育った少女ミジャと謎の巨大生物オクジャの友情を中心に、オクジャをニューヨークに連れ去り利用しようとするグローバル企業や生物学者、動物保護団体などの争いが展開されるという現代の寓話だ。

しかし、この作品が注目を集めたのは、その内容もさることながら、大手動画配信サービス会社Netflixが600億ウォンを投じて制作した点である。

今年のカンヌ国際映画祭では他にも、Netflix製作でもう1作「ザ・マイヤロヴィッツ・ストーリーズ」が、またAmazon製作の映画「ワンダーストラック」がコンペ入りしていた。

ところが、この「配信会社が制作した"映画"」という点に関して、映画祭の開幕前から物議を呼ぶこととなった。毎年行われる審査員たちによる記者会見で、今回の審査委員長であるペドロ・アルモドバルが「個人的に、映画館で公開されない映画にはどんな賞もあげたくない。映画とは大きなスクリーンで観るべきものだ」と声明を発表したのだ。

また、「オクジャ」は公式上映時に客席からブーイングが起こったり、機材トラブルによる上映の一時中断(スクリーンの幕が上がりきっていない状態で上映を開始してしまい中断。その後再上映となった)など、何かにつけて良くも悪くも目立つ作品となってしまった。


カンヌでの反応を伝える韓国のニュース YTN / YouTube

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中