最新記事

発想術

「思いついたアイデアはメモすべし」には理由がある

2017年4月6日(木)17時35分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

JimmyLung-iStock.

<仕事に生活、世の中のこと。アイデアはとにかくメモし、誰かに話す。昔のアイデアは使えない、なんてことはないからだ。アイデア本のロングセラー『考具』より>

何かアイデアや企画を思いついたら、どんなに小さなことでもできるだけメモしておくべきだと、大手広告代理店の博報堂に勤める加藤昌治氏は言う。それがアイデアマラソン、加藤氏の提唱する「考具(こうぐ)」の1つだ。

考具とは「考えるための道具」のこと。加藤氏は2003年、21種類もの考具についてまとめ、『考具』(CCCメディアハウス)として刊行した。この本は読者に支持され続け、現在までに37刷、15万部のロングセラーとなっている。

右肩上がりの経済成長は消え去り、多くの業界が激しい競争にさらされるなか、ビジネスパーソン1人1人の「考える力」がより一層問われるようになった。さらに今後は、人工知能(AI)の発展により、単純作業など、多くの仕事が失われるとも言われている。

これからの時代、ビジネスの世界で生きていくのに、考えるための道具を持っているに越したことはない。

このたび、『考具』のサブテキストとして基礎編『アイデアはどこからやってくるのか』と応用編『チームで考える「アイデア会議」』(いずれも加藤昌治著、CCCメディアハウス)が刊行されたのを機に、『考具』から一部を抜粋し、5回に分けて転載する。第5回は【考具その20】アイデアマラソン。

果たしてアイデアマラソンは、何にどう役立つのだろうか。

※第1回:「今日は赤」と意識するだけ 「カラーバス」で見える世界が変わる
※第2回:お客さんの気持ちを「考える」ではなく「演じて」みたら?
※第3回:アイデアのプロが愛用する考具「マンダラート」とは何か
※第4回:企画に行き詰まったら「オズボーンのチェックリスト」を

◇ ◇ ◇

【考具その20】アイデアマラソン

仕事に生活、社会問題。せっかく出したアイデアは、こっそり記録しておく

 アイデア・企画を考え出せるようになると、止まりません。1つの課題に対して、20や30のアイデア出しは当たり前。時と場所とを選ばずひらめいてしまうアタマとカラダになります。

 そうなると、仕事以外のこともああなったらいいのに、こうしたらいいのに......とついつい考えてしまいます。アイデアが出てくる領域は自社に他社、自分自身の生活や行動の周辺。○○市や県、国の行政にも。街の行政改革大臣? ちょっとした革命家さながらです。

 そのアイデア、そのままにしないでください。できるだけメモっておいて欲しいのです。そして記録してください。この考具をアイデアマラソン、と言います。

 樋口健夫さんという商社マンの方が提唱・実践されている方法です。至って単純で、自分が生み出したアイデアをノートに書いていく、それだけです。ミソは通し番号を振ることと、その通し番号とマラソンをスタートした日からの通算日とのギャップを計算していくこと。今日1日で5つのアイデアを思いついたなら、「+4」になるわけです。これを毎日積み重ねていく。プラスの数字が増えていくのが密かな快感なのです。

 わたしも1995年8月1日からアイデアマラソンを始めました。何度もリタイアしそうになりながらもまだ走ってまして、2003年2月15日までで通算4004件。残念ながらせっかく浮かんだアイデアを100%記録することはできていません。相当数はどこかへ行ってしまいました。それからズボラなわたしは毎日記録するということもできません。メモの切れ端をノートに挟んでおいて、数カ月に一度、休日にまとめ書きするといったありさまです。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中