最新記事

発想術

アイデアのプロが愛用する考具「マンダラート」とは何か

2017年4月4日(火)18時12分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

M_a_y_a-iStock.

<アイデアを出すときには、数を限定せずいくつでも出すこと。そのために役立つのが、脳を縦横無尽に活躍させてくれる「マンダラート」だ。アイデア本のロングセラー『考具』から>

ビジネス書の世界には、定番と呼ばれるものがある。古い本なのに内容が古びず、読者のニーズに応え続ける"はずさない"本。いわゆるアイデア本でいえば、『考具』(加藤昌治著、CCCメディアハウス)が有名だ。2003年に刊行され、15万部のロングセラーとなっている。

といっても「考具(こうぐ)」なんて知らない、という人も少なくないはず。これまでアイデア本を手に取る人は、企画などを仕事にしている人が主だったからだ。

時代は変わった。右肩上がりの経済成長は消え去り、多くの業界が激しい競争にさらされるなか、ビジネスパーソン1人1人の「考える力」がより一層問われるようになってきた。さらに今後は、人工知能(AI)の発展により、単純作業など、多くの仕事が失われるとも言われている。

そこで人間に残された生き残る道は......などと小難しいことを考えずとも、これだけは確かだ。ビジネスの世界で生きていくのに、考えるための道具(=考具)があるに越したことはない。

このたび、『考具』のサブテキストとして基礎編『アイデアはどこからやってくるのか』と応用編『チームで考える「アイデア会議」』(いずれも加藤昌治著、CCCメディアハウス)が刊行されたのを機に、『考具』から一部を抜粋し、5回に分けて転載する。第3回は【考具その9】マンダラート。

※第1回:「今日は赤」と意識するだけ 「カラーバス」で見える世界が変わる
※第2回:お客さんの気持ちを「考える」ではなく「演じて」みたら?

◇ ◇ ◇

【考具その9】マンダラート

シンプルなフォーマットから不思議なほどアイデアが出てくる

 アイデアを出すときには、数を限定せずいくつでも出すこと、とこれまで繰り返してきました。一直線ではなく四方八方、放射状に展開していくイメージです。そうした頭の動き方をトレースしたかのような考具があります。「Mandal-Art」(マンダラート)。頭の中にある情報やアイデアのヒントをグイグイ引っ張り出してくれます。わたしが数年にわたり愛用しているフォーマットです。紙の手帖、パソコン版、パーム版と揃っていまして、わたしは手帖とマッキントッシュ版をメインに使っています。

 まずは次のページの図を見てください(※本記事では割愛)。大きな正方形の中が区切られて9つのセルになっています。これをマンダラと呼ぶのですが、このシンプルな形の上で、あなたの脳が縦横無尽に活躍するから不思議です。

 真ん中にテーマを書きます。自分への問いかけです。お試しでやってみましょうか。周りにマグカップはありませんか? マグカップの新商品企画についてのアイデアを出さなければいけない、としましょう。マグカップ? 難問です。

 マンダラの中心のセルに「マグカップ?」と書いてみます。そして、その問いかけに対する答え、この場合なら新商品企画の手がかりになりそうなことを周辺のセルに埋めていきます。

「取っ手」
「カラーリングの多さ」
「飲み口の薄さ」
「かわいいイラスト」......といった具合。

 マンダラの周辺セルは8つあります。なんとか、ここを全部埋めてみてください。

 いま4つですね。あと4つ。

「価格」
「頑丈さ」

 あと2つ。

 ちょっと疑問だけど「洗いやすさ」。あと1つ。

 とりあえず「重さ」!

 ちょっと苦しくなっても、とにかく8つ埋めてください。

 埋まりましたか? 全部埋めることで、商品コンセプト=切り口が8つも登場したことになりますよ。これが横罫のノートだったら、8つも出てきたでしょうか?

 8つのセルを埋めるという少しばかりの強制力が働くと、頭が必死になって回転を始めるのです。ここで、8つのうちどの切り口が有望なのかを選択することもできますが、今はさらに商品のアイデアを探しに行きます。

kougubook170404-sub.jpg

『考具』(CCCメディアハウス)より

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税の影響で

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中