最新記事

経営

未発表研究が示す「大胆で進歩的な」財務担当者の時代

2017年3月13日(月)19時35分
ベン・ウォーカー(Dialogue誌編集長) ※編集・企画:情報工場

(1)プレイメーカー:未来に向けて組織を"まとめる"人
(2)ゲームチェンジャー:未来を"変える"人
(3)ストラテジスト(戦略家):未来を"描く"人
(4)ポリッシャー:未来を"磨く"人
(5)インプリメンター(実行者):未来を"築く"人

全米CFO連盟の研究では、対象の財務プロフェッショナルたちの中では(3)のストラテジストの要素がもっとも薄かったそうだ。

このストラテジストの要素が少ないという結果は、際立ったものだった。20人の対象者の中で、はっきりとストラテジストの役割を志向する人は1人もいなかった。ストラテジストの要素を示すスコアが7(満点は10)より大きかったのは、たった1人だった。GC Indexの創設者であるネイサン・オット氏によれば、この結果は、財務の専門家に限っては決して驚くものではないという。

オット氏はDialogue誌のインタビューに次のように答えている。「すべての職種を対象にした場合、20人いたならば、たいていはそのうち4人か5人はストラテジストのスコアが7以上になります。しかし、今回、財務のプロフェッショナルに絞った場合にはそうはなりませんでした。似たような立場の別の20人を連れてきたとしても、結果は変わらないと思います。私たちのこれまでのデータや、さまざまな組織と関わってきた経験から、それははっきりしています」

今回、対象となった財務プロフェッショナルのグループにストラテジストの要素が欠けていることから、どんなことが言えるのだろうか。全米CFO連盟のニック・アラコ・ジュニアCEOは次のように指摘している。

ストラテジストが必要となるような課題が生じるかどうかは、業務次第である。つまり業務によっては、これまで、ビジネス上の機能を全体的に見渡す必要がなかったために課題が生じなかった。かつては財務がそうだった。だから、財務の分野では戦略的思考の必要性が感じられることも、実際に育まれることもなかった。

「私は、財務幹部にストラテジストが不足しているという推論にはあまり同意できません。不足しているのではなく、必要とされてこなかったのです。今ようやく、財務プロフェッショナルたちが戦略的なマインドセットを示すことが歓迎されるようになってきました。その機会も増えています。財務分析をベースに方針や根拠を考えていくことは、企業の成長戦略を策定・実行する上で役に立ちます。おそらく、多くの企業がそのことを認識するようになってきたのでしょう」と、アラコ・ジュニアCEO。

「それは、すなわち財務が、かつてサイロ化(部門間などで互いに連絡・連携することなく独自に業務を行う様子)しているとみなされた各業務の壁を越えていこうとしているからにほかなりません。財務プロフェッショナルの戦略的な能力は、企業全体の意思決定において重要な役割を果たすようになってきているのです」

【参考記事】ロボット化する社員が企業の倫理的問題を招く

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

注目企業の決算やFOMCなど材料目白押し=今週の米

ビジネス

米FRB、「ストレステスト」改正案承認 透明性向上

ワールド

東ティモール、ASEAN加盟 11カ国目

ワールド

米、ロシアへの追加制裁準備 欧州にも圧力強化望む=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任務戦闘艦を進水 
  • 4
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 5
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 10
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 7
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中