最新記事

米安全保障

「ロシアが禁止ミサイル配備」にも無抵抗、トランプ政権の体たらく

2017年2月15日(水)17時20分
ロビー・グレイマー

ドナルド・トランプ大統領が入国禁止令や安全保障担当補佐官フリンの辞任などでつまずく一方、フリンの悪名高い無秩序な管理スタイルのせいで政府高官は分断され、不満を抱いていると、政府関係者たちはFPに明かしている。軍高官のなかには、文民である政権幹部に公然と忠告するという異例の行動に出た者までいる。

「我が国の政府は、依然として信じがたいほどの混乱状態にある。政府には、すぐにこの状態を解消してほしい。これではまるで戦争状態だ」。特殊作戦軍司令官を務めるレイモンド・トーマス陸軍大将は、14日にそう語った。のちに発言の真意を問われたトーマスは、「司令官として、我が国の政府が極力安定した状態にあることが重要だと考えている」と説明した。

大統領選の勝利から100日近くが過ぎたにもかかわらず、トランプはいまだ、政権内の重要ポストの担当者を指名していない。本来なら、ロシアによる軍縮条約違反などの危機が起きた際に、真っ先に応答するはずの者たちだ。トランプ政権ではまだ、国務副長官と国防副長官をはじめ、国家安全保障会議の一部の上級職や、さまざまな安全保障関連組織の主要な中間管理職のポストが埋まっていない。

ロシア機が異常接近

「ロシアは(新政権を)あちこちつついてみるだろう」と語るのは、ワシントンのシンクタンク、大西洋協議会でNATOを専門とするジョージ・ベニテズだ。「ロシア政府は、(アメリカからの反撃を受けずに)どこまで押せるかを探っている」

最近、ロシアの軍隊に絡んだ事件がほかにも2件起きた。黒海では、通常任務中の米駆逐艦にロシア軍機が異常接近。米東海岸のデラウェア州沖では、ロシアの偵察艇が目撃された。そうした報告がされたのは2年ぶりのことだ。国防総省報道官のバレリー・ヘンダーソン中佐はFPに対し、米軍は「偵察艇の存在に気づいていた」と話し、米国の領海には侵入していなかったと説明した。

そうした事件は互いに、そしてもちろんフリンの辞任とも、関係している可能性がある、と専門家は指摘する。

偵察艇が「テスト飛行だった可能性は当然あるが、いずれにしても一夜にして起きることではない」とスミスは言う。

From Foreign Policy Magazine

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ウォルマートが上場先をナスダックに変更、崩れるNY

ワールド

ゼレンスキー氏、米陸軍長官と和平案を協議 「共に取

ワールド

インド、対米通商合意に向け交渉余地 力強い国内経済

ワールド

トランプ氏、民主議員らを「反逆者」と非難 軍に違法
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中