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映画プロデューサー

エディ・レッドメインは「力のある俳優」

2016年12月2日(金)17時00分
大橋 希(本誌記者)

© 2016 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED. HARRY POTTER AND FANTASTIC BEASTS PUBLISHING RIGHTS © JKR

<『ハリー・ポッター』シリーズのきっかけを作り、新シリーズ『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のプロデューサーも務めるデービッド・ヘイマンが語る、映画とレッドメインの魅力>(映画:撮影現場でのヘイマン(左)とニュートを演じたエディ・レッドメイン)

『ハリー・ポッター』の新シリーズ第1作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』が日本公開中だ。デービッド・イエーツ監督に続き、『ハリー・ポッター』シリーズからプロデューサーを務めるデービッド・ヘイマンに話を聞いた。

***


――新シリーズ始動のきっかけは? J・K・ローリングから提案があったのか。

 ジョー(ローリングの愛称)はものすごく忙しい。作家として活躍し、自身の慈善団体ルーモスをはじめさまざまな慈善活動もしている。家族もいる。本来なら、新シリーズを始める必要はないだろう。でも彼女には伝えたい物語があった。

 映画『ハリー・ポッター』シリーズの終了から少したった頃、ワーナー・ブラザースのライオネル・ウィグラム――私がハリー・ポッターの原作本を最初に持っていった人物だ――と、魔法の世界でまた何かできないかという話をしていた。『ハリー・ポッター』シリーズがすごく楽しかったからね。ライオネルが考えていたのは、疑似ドキュメンタリー映画を作るというアイデア。魔法動物学者ニュート・スキャマンダーが世界中を回って、魔法動物を保護するドキュメンタリーだ。

 このことをジョーに話したら、「それは不思議。私もニュート・スキャマンダーのことを考えていた。彼のことを書きたかったのよ」と言うんだ。彼女のアイデアを聞いたら、私たちのアイデアよりずっと面白かった。それがすべての始まりだった。

 ニュートは、ホグワーツ魔法魔術学校で使われていた教科書を書いた人。ジョーは慈善団体コミック・リリーフのために『幻の動物とその生息地』(著者はニュート・スキャマンダーという設定)という本を09年に出版していて、ニュートがどういう人物なのか知り尽くしている。

【参考記事】『ファンタスティック・ビースト』で帰って来たハリポタの魔法の世界

――新シリーズを始めるのは大変なことだと思うが、何をいちばん大切にしている?

『ハリー・ポッター』のときもそうだったが、最も重要なのは、彼女の作品の精神をしっかりとらえること。彼女が書くものはどれも登場人物の描写が生き生きとしていて、素晴らしい。それが物語の土台になっている。ハリーとハーマイオニー、ニュートとティナ、クイニー、ジェイコブはみんなアウトサイダーだけど、私たちの周りにもいて、私たち自身も投影できる。そんな人たちだと思う。ジョーが作り上げたわくわくするようなキャラクターに、命を吹き込むことができなければ映画はうまくいかない。

『ファンタスティック・ビースト』はファンタジーだが、それは外側から見た飾りにすぎない。核にあるのは感動的なストーリーで、私たちの世界を映し出す物語だ。だから子供も大人も見て楽しめる。愉快で、悲しくて、冒険に満ち、スリルも満点で、怖いところもある。そして私たちについて描かれている。

 違う人を受け入れることや寛容さも、中心テーマの1つだと思う。魔法使いと人間が実際はよく分かっていないのに、互いにレッテルを張って怖がったりしている。ちょっと変わっているとダメな人だと決めつけてしまう、今の世界と似ているかもしれない。

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