最新記事

映画

デキちゃったブリジットの幸せ探し

2016年10月28日(金)10時30分
デーナ・スティーブンズ

©UNIVERSAL PICTURES

<12年ぶりのシリーズ最新作は計算外の妊娠をした主人公ブリジットが、2人の王子様に愛される超安定の王道路線>(写真:子持ちの友人にひそかに憧れていたブリジットは妊娠を喜ぶが、子供の父親は謎のまま)

 ドジだけれど、どんな災難にもめげないブリジット・ジョーンズが読者のハートをつかんだのは20年前のこと。ロンドンを舞台に、アラサー女子ブリジットのどたばたシングルライフを描いたヘレン・フィールディングの小説『ブリジット・ジョーンズの日記』は、世界中でベストセラーになった。

 もっとも、禁煙を誓いながら吸ってしまったたばこの本数と酒量を日記につけては一喜一憂し、結婚のことしか眼中にないブリジットを、筆者は好きになれなかった。男や体型のことでうじうじ悩むヒロインにうんざりし、本は途中で投げ出した。

 だが、01年に公開されたシャロン・マグワイア監督の映画版は違った。レニー・ゼルウィガーが15キロ太り、体当たりで挑んだヒロインには魅了された。

 ブリジットの価値観や目標は古風だ。「結婚して優越感に浸る」のが夢で、夜な夜な太もものサイズを気に病むのは小説と変わらない。しかしゼルウィガーが作り上げたのは、それまで見たことのないヒロインだった。映画版のブリジットははしゃいでいたかと思えば一瞬で塞ぎ込み、夢見る女子なのに奔放で、誇らしげに「尻軽」を自認した。

【参考記事】天使のように美しい少年が恐るべき独裁者へ──「シークレット・オブ・モンスター」

 しかも当時のヒュー・グラントとコリン・ファースといえば、ラブコメディー界に君臨する2大貴公子。『ブリジット・ジョーンズの日記』は当代きってのモテ男2人と三角関係を演じるまれなラブコメだったのだ。

 04年の『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』でも2人は恋の火花を散らす。この続編はブリジットに結婚式のブーケをキャッチさせ、マーク(ファース)との結婚が近いとにおわせて終わる。

 そして12年ぶりの第3弾『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』では、冒頭で女たらしのダニエル(グラント)があっさり事故死。ブリジットは葬儀に参列し、誰も知らないはずのダニエルとの思い出を友人に耳打ちする。しかし教会は、彼の元カノであふれんばかり。それも全員が同じ思い出に涙しているらしい。

 さらにもう1人の元カレ、マークも葬儀に居合わせたからたまらない。ブリジットとくっついたり離れたりを長いこと繰り返した後で、弁護士のマークは別の飛び切り優雅な女性と結婚している。ブリジットは夫妻とぎこちなく挨拶を交わし、教会を飛び出す。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

COP30合意素案、脱化石燃料取り組み文言削除 対

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、11月速報値は52.4 堅調さ

ワールド

アングル:今のところ鈍いドルヘッジ、「余地大きく」

ワールド

アングル:トランプ氏と有力議員対立、MAGA派に亀
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 5
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 9
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中