最新記事

香港

「イギリス領に戻して!」香港で英連邦復帰求める声

2016年9月16日(金)10時10分
パトリック・ウィン

 しかし中国共産党は近年、香港の親中派からの支持を盾に、香港への締め付けを強化してきた。独立派が権力を掌握することがないよう、香港で選挙が行われる際には候補者を精査。中国政府を批判する香港人が共産党に拉致される事件まで起きている。

 香港では広東語が広く使われているが、公立学校で標準中国語の履修が必修化されたために、広東語が消滅するのではないかと懸念する声も広がっている。こうして中国政府による香港への干渉が強まっているため、大陸は香港返還時の条件を事実上ほごにしていると、イギリス領復帰派は訴えている。

【参考記事】「民主主義ってこれだ!」を香港で叫ぶ――「七一游行」体験記

 頼の思い描く夢のシナリオは――現状に対する香港人の憤りを受けて、イギリスが香港の主権を再び主張するようになることだ。しかし万が一イギリスがこうした動きに出れば、重要な貿易相手国である中国との関係を大いに損ね、世界にも困惑が広がるだろう。

 にもかかわらず、運動支持者らは望みを捨てていない。頼は訴える。「香港は中国本土より洗練されており、法の秩序や英語など、イギリスの価値観も多く共有している。例えば、私たちは(本土の人々と違って)ゴミはゴミ箱に捨てる」

 頼は、さらに続けた。「これは始まりにすぎない。私たちはこの問題についてさまざまな方法で香港人に訴えていくつもりだ。まず、香港人には自己決定を下す権利があることを示す。これは何よりも大切なことだ」

From GlobalPost.com特約

[2016年9月20日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米5月PCE価格、前年比2.3%上昇 個人消費支出

ワールド

プーチン氏、OPECプラスの増産継続示唆 夏季の需

ワールド

トランプ氏、FRBに改めて利下げ要求 パウエル議長

ビジネス

カナダ4月GDP、前月比0.1%減 米関税影響で製
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 2
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急所」とは
  • 3
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 4
    富裕層が「流出する国」、中国を抜いた1位は...「金…
  • 5
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 8
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 9
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 10
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 10
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中