最新記事

米高等教育

プライベートジェットで大学訪問すると合格?──米名門校の入り方

2016年9月6日(火)18時15分
リンゼイ・タッカー

 ツアーは超富裕層の子どもと親に大人気だと、同社のジョシュア・ヘバートCEOは言う。マジェラン会員の多くはもともと自家用ジェット機を所有しているが、大学ツアーも含め飛行プランの作成などが煩わしいためにマジェランのサービスを買うのだという。

 マジェランによると、過去2年間で22家族が大学パッケージツアーに参加しているほか、22人の顧客が、オーダーメイドのキャンパス訪問を行った。

【参考記事】「増えすぎ」アジア人を排除するハーバード

 アメリカの名門大学が、学生の勧誘で富裕層の子どもにターゲットを絞り、多少成績が悪くても大目に見る傾向にあるのは周知のとおりだ。2004年にピュリツアー文学賞を受賞したアメリカのジャーナリスト、ダニエル・ゴールデンは、著書『合格の値段──アメリカの支配階級が金で名門大学に入る一方、締め出されているのは誰か』のなかで、白人の特権階級を優先して入学させる大学入試の黒い実態を暴いた。

大学が知りたいのは親の経済力

 大学は、とにかく裕福な家庭の子どもを入学させたがる。たとえ書類審査の評価が低くても、優先されるのは学力より親の経済力。高等教育は金次第のビジネスだ。全米上位の大学はどこも莫大な寄付金を集められたからこそ、充実した図書館を完備し、優秀な教授陣を囲い込み、キャンパスを豪華にして今の絶対的な地位を築くことができたのだ。

 その結果、アメリカの名門大学に入学するのは今や米大統領選に出馬する以上の難しさで、合格基準は以前にも増して不透明になっている。こう話すのは、マジェラン社の大学ツアー参加者に参考資料を提供するアドバイザーのミミ・ドウだ。彼女の推計では、どこの大学も全学生の半数を、スポーツ推薦枠からの入学者や卒業生の子息、もしくは富裕層の子息が占める。

 多額の寄付を確保したい大学関係者は、入学許可の判断材料として、あらゆる手段を講じて応募者の家庭の経済力を探ろうとする。やり手の大学カウンセラーや同窓生、豪華な大学ツアーを提供するプライベートジェット運営会社まで、情報源はいくらでもある、というわけだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ南部ガス施設に攻撃、冬に向けロシアがエネ

ワールド

習主席、チベット訪問 就任後2度目 記念行事出席へ

ワールド

パレスチナ国家承認、米国民の過半数が支持=ロイター

ビジネス

シンガポールのテマセク、事業3分割を検討=ブルーム
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    習近平「失脚説」は本当なのか?──「2つのテスト」で…
  • 10
    夏の終わりに襲い掛かる「8月病」...心理学のプロが…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 4
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中