最新記事

映画

X JAPANの壮絶な過去と再生の物語

サンダンス映画祭で最優秀編集賞を獲ったドキュメンタリー映画『We Are X』のYOSHIKIとスティーブン・キジャク監督に聞く

2016年2月23日(火)16時00分
ポーラ・メヒア

元祖ビジュアル系 音楽性だけでなく、奇抜なヘアスタイルとメークで話題に X JAPAN

 ビジュアル系という言葉を生み日本の音楽史に伝説を刻んだロックバンド、X JAPANの壮絶な物語は昼メロのようにも見える。メンバーの悲劇的な死やカルト集団による洗脳疑惑など、彼らをめぐる衝撃的な事件は数多い。もちろん奇抜なヘアスタイルや派手なパフォーマンス、彼らのロックに対する情熱も多くのドラマを生んだ。

 バンド結成は1982年。メジャーデビュー後は華々しい活動を続けていたが、97年にボーカルのToshIの脱退を機に解散。翌年にはギターのHIDEが急死し、ToshIの洗脳疑惑も深まっていった。

 しかし解散後もインターネット上でX JAPANの人気は世界的に高まっていった。そうしたファンの期待を受けて、バンドは2007年に再結成。今年には20年ぶりとなる新アルバムのリリースを予定している(3月発売が決まっていたが、ギターのPATAの緊急入院により延期)。

 先月には、サンダンス映画祭でX JAPANの軌跡を描いたドキュメンタリー映画『We Are X』がプレミア上映され、ワールドシネマドキュメンタリー部門の最優秀編集賞を受賞した。同作品は、結成当時の80年代初期から世界進出、14年10月のマジソンスクエア・ガーデンでの公演までを追ったものだ。

【参考記事】【動画】外国人を(嵐よりも)魅了するサムライ集団「TAO」って何者?

 ただし、コンサートの様子や昔懐かしい映像などでたどる、典型的な音楽ドキュメンタリーではない。それはリーダーのYOSHIKIの目を通して語られる再生の物語だ。YOSHIKIと監督のスティーブン・キジャクに本誌ポーラ・メヒアが聞いた。

──映画制作のきっかけは? もともとX JAPANのファンだったのか。

キジャク パッション・ピクチャーズ(映画制作会社)とはとてもいい関係で、ローリング・ストーンズのドキュメンタリー『ストーンズ・イン・エグザイル~「メイン・ストリートのならず者」の真実』を撮ったこともある。また一緒に仕事がしたいといつも思っていた。

 私はミュージシャンのドキュメンタリーが専門だから、その手の話があるときはだいたい私に声が掛かる。関心がなくて断る場合もあるが、この作品にはすごく興味をそそられた。すぐに少しリサーチをして、伝えるべき素晴らしいストーリーがあると思った。

──2人が最初に会ったのは?

YOSHIKI 僕のエージェントのマーク・ガイガーとX JAPANの今後や日本国外での活動について話していたとき、彼が僕たちの歴史はすさまじいから映画を作ったらどうかって。僕はその扉を開けるのは難しいって言ったんだけど、結局は説得されてプロデューサーを紹介してもらった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中