最新記事

エンターテインメント

【動画】外国人を(嵐よりも)魅了するサムライ集団「TAO」って何者?

華々しい「ブロードウェイ」デビューを飾った大分発の和太鼓集団『DRUM TAO』は、日本を国外に売り込む「顔」になれるかもしれない

2016年2月23日(火)11時09分
小暮聡子(ニューヨーク支局)

外国人のツボにはまる CBSの夜の看板番組「ザ・レイトショー」で喝采を浴び、オフ・ブロードウェイの公演でも目の肥えたニューヨーカーたちを魅了していた © DRUM TAO

 覚えている人もいるかもしれないが、5年前、日本の観光庁が国外向けに日本のPR映像を作って、外国人から失笑を買った「事件」があった。映像では、人気グループ「嵐」のメンバーがそれぞれ日本の観光地を訪れ、招き猫の真似をして「ニャー」と鳴く。

 当時、仏フィガロ紙の東京特派員で辛口親日家であるレジス・アルノー氏は、本誌に「嵐がニャーと鳴く国に外国人は来たがらない」と題するコラムを寄せ、観光庁の勘違いぶりをこう嘆いた。「日本はなぜ『最高の顔』で自分を売り込もうとしないのか。洗練された職人や建築家、知識人、画家、料理人ではなく、国内限定のスターを宣伝に使うなんて」

 観光庁は、その映像をニューヨーク・タイムズスクエアの大型ビジョンを皮切りに全世界133カ国・地域以上で流していくと豪語していた。その後ニューヨークに赴任した私は、あの映像が世界最高のエンターテインメントが集結するこの街のど真ん中で流れていたのかと赤面したものだが、同時に外国人を虜にする日本の「最高の顔」とは何かと考えを巡らせてきた。

【参考記事】日本の本当のPR役は嵐でもSMAPでもない

 4年後の東京オリンピックに向けて、今後は開閉会式のパフォーマー選びが加速するだろう。確かに嵐は観光庁が訪日客のターゲットにしている東アジアでは人気だが、残念ながら「世界に通じる」とは言いがたい。

【参考記事】東京五輪まで「5年しかない」現実

 もっと幅広い層の外国人を取り込める「顔」はないものか――そう思っていたところ、先日ついに目撃してしまった。嵐とは別の"サムライ集団"が、目の肥えたニューヨーカーたちを熱狂させている姿を!

 その精鋭たちとは、日本人の和太鼓集団『DRUM TAO』。男性26人、女性8人から成るTAOは、一般的な知名度こそまだまだかもしれないが、実は日本だけですでに11万人ものファンクラブ会員を抱える人気グループだ。その彼らが今月10日、満を持して「ブロードウェイ」デビューを果たしたのだが、それが単なるブロードウェイではなかった。アメリカの巨大ネットワーク局「CBSテレビ」の視聴者を前に、ブロードウェイのエド・サリバン劇場でパフォーマンスを披露したのだ。

 TAOが出演したのは、CBSの夜の看板番組「ザ・レイトショー」。昨年デービッド・レターマンからスティーブン・コルベアが司会役を引き継いた長寿番組で、毎晩「旬な」ゲストを迎えてトークを繰り広げる。TAOと同じ日に出演したのは、映画『ズーランダー2』のプロモーションに訪れた人気俳優ベン・スティラーと、米大統領選で民主党の候補者指名争いに出馬しているバーニー・サンダース上院議員だ。そんな大物たちと同じ枠内でコルベアから紹介され、和太鼓の演奏をメインにしたド迫力のステージを展開して観客から喝采を浴びた。

2月10日放送の「ザ・レイトショー」

 私自身も2月11~14日にニューヨークのオフ・ブロードウェイで行われたTAOの公演『DRUM HEART』の最終日に足を運んだが、その圧巻のパフォーマンスに観客が度胆を抜かれ、スタンディングオベーションを繰り返すのを目の当たりにした。

 約2時間の公演中、舞台の上で奏でられるのは数種類の和太鼓に三味線、琴や篠笛といった伝統楽器。しかも、単なる演奏に留まらず、アクロバティックなパフォーマンスあり、ファッションショーさながらの華やかな衣装ありと「魅せる」ポイントが満載で、そのどれもが外国人のツボにはまる。TAOが彼らを総立ちにさせるのは、そこに「クールジャパン」の要素がたっぷり詰まっているからだ。

 例えば、黒髪を振り乱しながら長刀を操ったり、ミュージシャンというよりアスリートのように鍛え上げられた肉体で和太鼓を叩きまくる日本男児たちは、外国人から見ればまさに「サムライ」そのもの。公演の前半が終わった休憩中、客席の若い白人女性が「Oh my gooood! I am obsessed!!(ヤバイ!ハマっちゃったー!!)」と叫んで目をハートにさせているのを見て、私は思わずニンマリした。「太鼓を叩くEXILE」のような勇ましいサムライたちが、男女を問わず観客をウットリさせているのである。

ニュース速報

ワールド

香港で抗議デモ続く、学生は大学に立てこもり 17日

ビジネス

著名投資家アイカーン氏、ゼロックスとHPの統合案支

ワールド

米中の貿易合意、石油市場の「暗雲」取り払う=OPE

ビジネス

中国鉱工業生産、10月は大幅に鈍化 他の指標も軒並

MAGAZINE

特集:世界を操る政策集団 シンクタンク大研究

2019-11・19号(11/12発売)

政治・経済を動かすブレーンか「頭でっかちのお飾り」か、民間政策集団の機能と実力を徹底検証

人気ランキング

  • 1

    ペットに共食いさせても懲りない飼い主──凄惨な退去後の現場 

  • 2

    香港デモ隊と警察がもう暴力を止められない理由

  • 3

    文在寅政権の破滅を呼ぶ「憲法違反」疑惑──北朝鮮の漁船員2人を強制送還

  • 4

    中国は「祝賀御列の儀」をどう報道したか?

  • 5

    雨が降ると植物はパニック状態になっていた:研究結果

  • 6

    韓国、アイドルオーディション番組「PRODUCE 101」ヤラ…

  • 7

    女性の着替えやトイレを監視──入管が組織的セクハラ

  • 8

    子犬を茹でて子供を虐待する「鬼母」と地獄の家

  • 9

    債券バブルが崩壊したら株式市場はどうなるか

  • 10

    「バグダディ死亡」共同通信記事の間違った認識

  • 1

    日朝戦争なら韓国は北朝鮮の味方、日本はいつの間にか四面楚歌?

  • 2

    文在寅政権の破滅を呼ぶ「憲法違反」疑惑──北朝鮮の漁船員2人を強制送還

  • 3

    韓国通貨危機の裏側を赤裸々に暴く 『国家が破産する日』

  • 4

    母親に育児放棄されたチーターが、犬の「代理きょう…

  • 5

    香港デモ隊と警察がもう暴力を止められない理由

  • 6

    200万年前の氷が採取されて2年、地球の気候変動に関…

  • 7

    ペットに共食いさせても懲りない飼い主──凄惨な退去…

  • 8

    文在寅政権の「自滅」を引き寄せる大統領側近らの忖度

  • 9

    ヤクルトが韓国で最も成功した日本ブランドになった…

  • 10

    中国は「祝賀御列の儀」をどう報道したか?

  • 1

    韓国は、日本の対韓感情が大きく悪化したことをわかっていない

  • 2

    マクドナルドのハロウィン飾りに私刑のモチーフ?

  • 3

    「アメリカは韓国の味方をしない」日韓対立で米高官が圧迫

  • 4

    意識がある? 培養された「ミニ脳」はすでに倫理の…

  • 5

    インドネシア、巨大ヘビから妻救出した夫、ブタ丸呑み…

  • 6

    「武蔵小杉ざまあ」「ホームレス受け入れ拒否」に見る深…

  • 7

    中国人女性と日本人の初老男性はホテルの客室階に消…

  • 8

    ラグビー場に旭日旗はいらない

  • 9

    性行為を拒絶すると立ち退きも、家主ら告発

  • 10

    アメリカが韓国に「最後通牒」......日本との安保対…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月