最新記事

喫煙

【写真特集】紫煙に覆い隠された、たばこ産業の現実

世界的に見れば喫煙者数はむしろ増加傾向。この産業がはらむさまざまな問題点とは

2015年8月25日(火)16時30分
Photographs by Rocco Rorandelli-TerraProject

タバコの葉を仕入れる際に品質をチェックするインドのたばこ会社のテイスターは、仕事のために1日当たり100本ほどの葉巻きたばこを吸う

 400年という長い歴史を持つたばこ産業は現在、健康への影響を懸念する先進諸国では大きな変化の時を迎えている。喫煙者数は減少し、広告の制限や公共スペースの禁煙化など政府による規制も進んでいる。

 しかし世界的に見れば、喫煙者数はむしろ増加傾向にある。WHO(世界保健機関)によれば、その数は10億人以上。生産地も先進国から新興国へ移行。たばこメーカーはより賃金の安い労働者を雇うことで、世界経済が金融危機で大きく減退した後も利益を増やし続けている。

 たばこを取り巻く各国の現状を追い、写真に収めたロッコ・ロランデッリの作品からは、この産業がはらむさまざまな問題点を見て取ることができる。

 生産現場では、濡れたタバコの葉に触ることで起こる中毒症状「グリーン・タバコ病」に未成年の労働者までが苦しんでいる。規制が甘く、いまだに広告活動が盛んな国では、未成年者の喫煙率の高さも大きな社会問題だ。インドネシアでは、子供の30%が10歳までにたばこを吸い始めるという。

 闇市場での取引や偽造たばこの存在も、こうした問題の実態を正確に把握し、対応する上で大きな障害になっている。安くて粗悪な偽造たばこが、生産者から消費者に至るまであらゆる人々の健康をより危険にさらしているということだ。

 その結果、喫煙が要因となって発症した癌により、毎年600万人が命を落としている。

 先進国では健康関連の予算のうち最大10%が、喫煙しなければ防げたかもしれない癌の治療に使われている。アメリカでは喫煙関連の医療費が毎年960ドルに上る。それでも、予算が足りずに必要な治療が受けられるのはごく一部の人だけ、という途上国に比べればまだ恵まれているのだろうが。

pptobacco02re.jpg

タバコの葉を収穫するブルガリアの少年。素手で葉に触ることで皮膚からニコチンを吸収し、グリーン・タバコ病にかかる危険性がある


pptobacco03re.jpg

欧州最大の生産国であるイタリアのタバコ畑。近年では政府からの助成金が減ったことで、生産の多くがアジアなどに移行している

pptobacco04re.jpg

インドのタバコ畑で収穫作業を行う農家。たばこは多くの税収と雇用を生み出すが、最終的に農家が受け取る利益はそれほど多くない

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、インフレ定着リスクなら躊躇せず行動=スロバ

ワールド

中国との関係改善「反米意味せず」、台湾野党党首が主

ワールド

中東情勢関係閣僚会議をあす開催=高市首相

ワールド

中国、燃料価格上限の引き上げ幅縮小 原油高の影響緩
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 3
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記者に、イスラエル機がミサイル発射(レバノン)
  • 4
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 5
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 9
    「筋力の正体」は筋肉ではない...ストロングマンが語…
  • 10
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中