最新記事

イラン

未成年の公開処刑で問われる人権感覚

スパイ罪のアメリカ人2人を釈放した日に17歳を公開処刑。国際協定違反と人権団体は猛反発

2011年9月22日(木)13時01分

計算づく? 国連総会開始のタイミングで釈放されたアメリカ人のシェーン・バウアー(中央、9月21日) Jumana El-Heloueh-Reuters

 イランで9月21日、人気スポーツ選手を殺害した罪で、10代のアリレザ・モラソルタニが公開処刑された。

 イラン国営通信(IRNA)によれば、首都テヘランの西にあるカラジの犯行現場には、処刑を見るために多くの群衆が集まった。そこで17歳のモラソルタニの絞首刑が執行された。

 当局は7月にルホラ・ダダシを刺殺したとしてモラソルタニに有罪判決を下し、彼は8月に死刑判決を受けた。

 人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルは当局に処刑を中止するよう求めていた。同団体はモラソルタニの行為が交通事故をめぐる喧嘩での正当防衛だったと言う。

「未成年の犯則者を処刑するのは、イランが署名している国際協定で厳しく禁じられている」と、同団体のハッシバ・ハジ・サラウィはAFP通信に語っている。

 検察側は、太陽暦に従えばモラソルタニは18歳に達しており、処刑の対象になる年齢だと主張している。

 イランでは今年、203件の処刑が行われ、人権団体からの非難が続いている。

 一方で、イランは21日に、国内で逮捕されスパイ罪で有罪判決を受けていたアメリカ人、シェーン・バウアーとジョシュ・ファタルの2人を釈放した。

 アメリカの高官がCNNに語ったところでは、2人は釈放後直ぐにオマーン政府高官に身柄を引き渡された。2人の家族はオマーンにおり、アメリカに送還される前に健康診断を受けることになっているという。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GM、通年利益予想引き上げ 関税の影響見通し下方

ワールド

ウクライナ北部で停電、ロシア軍が無人機攻撃 数十万

ワールド

ロシア大統領府、米ロ首脳会談の日程は未定 「準備が

ワールド

米政府閉鎖、国民は共和党を非難 トランプ氏支持率は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 5
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 6
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 10
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中