最新記事

アメリカ社会

300万円の借金背負う米新卒の生活苦

学費の高騰が止まらないアメリカで学生ローンの負担は増える一方

2013年12月5日(木)15時11分
サマンサ・スタインバーン

本末転倒? 卒業した後も長い間、学費の返済が続く BigStock

 アメリカの高等教育の学費が、猛烈な勢いで高騰を続けている。奨学金などのサポートが充実しているとはいえ、多くの学生は授業料や寮費を払うために高額のローンを組み、就職した後も長い間、借金の返済から逃れられない。

 カリフォルニア州の調査機関「大学進学・成功研究所」が12月4日に発表した報告書によれば、2011〜12年にアメリカ国内の大学で学士号を取得した学生のうち、71%が学生ローンを背負っているという。その額は、平均2万9400ドル(約300万円)。しかも71%という数字には、子供の学費を払うために親がローンを組んだケースは含まれていない。

 学生の借入額は4年前から増え続けている。リーマンショックが起きた08年には、学士号取得者の68%がローンを組んでおり、借金は平均2万3450ドル(240万円)だった。大学進学・成功研究所によれば、08年から12年にかけて毎年平均6%づつ借入額が増えているという。

 もっとも、学生が背負うローンの額は地域や大学によって非常に幅がある。学生の借入高が平均5000ドルと低い大学もあれば、その10倍の5万ドルに達する大学もある。最も重い借金を背負っているのは、米東海岸と中西部で学ぶ学生たちだ。

 ちなみに、学生の借入額が低い大学にはプリンストン大学(ニュージャージー州)、ハワード大学(ワシントンDC)、ニューヨーク市立大学ハンター校などの名前がある。一方、借入高が高いのはミネアポリス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン(ミネソタ州)、ペンシルベニア州立大学、ウィーロック・カレッジ(マサチューセッツ州)などだ。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

再送公債依存度24.2%に低下、責任財政に「腐心」

ワールド

米国のベネズエラ封鎖は「海賊行為」、ロシアが批判

ワールド

26年度防衛予算案を決定、初の9兆円台 無人機を数

ワールド

米、ナイジェリアでイスラム過激派空爆 「キリスト教
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中