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「若者の肥満」がアメリカ軍最大の敵

太りすぎが原因で、入隊を拒否される若者が続出。世界最強の軍隊を倒すのはジャンクフードか?

2012年9月26日(水)16時31分
サラ・ウルフ

肥満の代償 糖尿病から足の切断に至った男性の写真を使い、ヘルシーな食生活を訴えるニューヨーク市のポスター New York City Department of Health-Reuters

 アメリカの若者の多くは兵士として戦うには太りすぎている。そんな最新調査が発表された。

 退役軍人による安全保障支援団体「ミッション:レディネス」が9月25日に公表した報告書によれば、高カロリーかつ栄養素の少ないジャンクフードのせいで、17〜24歳の若者の27%にあたる900万人が米軍の軍務には不適格なほど太っている。彼らは入隊を希望しても、基準体重をオーバーしているため身体検査で不合格になる。基準体重をオーバーすると、訓練についていけず除隊となったり、実戦で支障が出る可能性が高まるからだ。今や太りすぎは、健康診断で入隊を拒否される最大の要因だ。

 この問題は軍事費にも悪影響を及ぼしている。米国防総省は毎年、現役の兵士やその扶養家族、退役軍人の肥満に関連する問題のために10億ドルの医療費を費やしているという。

 ミッション:レディネスのメンバーは、肥満には国民の健康問題以上の重要性があると話す。これは国家安全保障の問題だ。特に若者の太り過ぎは、将来的な米軍の戦闘能力を脅かす。

「最後的には、この国の安全を守るのは航空機でも戦車でも船舶でも情報技術でもない。軍服を着て、兵役に就いている一人ひとりの人間だ」と、元空軍の中将で現在はミッション:レディネスの広報担当を務めるノーマン・サイプは言う。

 彼らの考えでは、問題解決の鍵はアメリカの学校制度にある。そこで2010年から、子供たちの肥満率を下げるために学校のカフェテリアや自動販売機からジャンクフードを追い出し、もっと健康的なメニューに変えるよう働きかけている。

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