情報BOX:中国、軍事演習で台湾威圧 過去の海峡危機
12月29日、台北に設置された台湾の旗。REUTERS/Tsai Hsin-Han
[29日 ロイター] - 中国人民解放軍は29日、台湾をほぼ取り囲む地域で軍事演習を開始した。「正義使命―2025」と呼ぶ演習は、実際の紛争時に台湾への外部からの支援を中国軍が遮断できる力があると見せつけることが狙いとみられる。
これまで中台間が緊迫した局面と、中国軍による演習を振り返る。
―中台は1949年以降、全面戦争の瀬戸際にまで達する事態が何度かあった。直近で実際の戦闘が発生したのは1958年で、台湾が支配する金門島と馬祖島に中国軍が1カ月余り砲撃を行い、海戦や空戦も起きた。
―台湾初の直接選挙による総統選を控えていた1996年には、中国軍が台湾近海でミサイル発射試験などの威嚇を実施。中国側が台湾独立派とみなしていた李登輝氏に対する台湾有権者の支持低下を期待したものの、結局は李登輝氏が当選した。
―2022年8月には当時のペロシ米下院議長の台湾訪問を受け、中国軍は台湾周辺で数日にわたって軍事演習を行った。弾道ミサイルも発射され、その一部は台湾上空を通過。海軍と空軍による模擬攻撃も実行された。
―2023年4月には中国軍が台湾周辺で3日間の軍事演習に動き、実戦における各部隊の統合能力を試したと説明。具体的には精密攻撃や台湾の封鎖などの訓練が含まれていた。これらは、当時の台湾の蔡英文総統が米下院議長だったケビン・マッカーシー氏とロサンゼルスで会談して帰還した後に行われた。
―2023年8月にも中国軍は台湾周辺で「分離独立派」への「重大な警告」として軍事演習を開始。ただ当時の頼清徳副総統の訪米への反発として、大方が予想していた。
―頼清徳氏が総統に就任した直後の2024年5月、中国は「分離独立主義的行為」への「懲罰」として「連合利剣―2024A」と呼ぶ軍事演習を台湾周辺で開始した。重武装の戦闘機を飛行させ、模擬攻撃を行った。
―2024年10月、中国軍は頼氏の国慶節演説に対抗する形で、台湾周辺において1日間の「連合利剣―2024B」と呼ぶ軍事演習を実施。台湾側によると、中国はこの演習で過去最多の軍用機を投入した。
―2024年12月に台湾は中国空軍と海軍の活動が周辺や地域の海域で大幅に増加したと報告した。しかし中国は演習を実施していると正式に認めなかった。
―2025年4月に中国軍は「海峡の雷―2025」と呼ぶ軍事演習を実施し、これは「分離独立主義への厳しい警告」だと主張した。





