最新記事

テクノロジー

本は図書館サイトで借りてキンドルで読む!

キンドルユーザーが図書館から電子書籍を借りられるサービスの開始が決定

2011年4月22日(金)15時44分

どこでもライブラリー サイトから電子書籍をダウンロードするだけ Brian Snyder-Reuters

 アマゾンの電子書籍端末キンドルのユーザーは、もうすぐアメリカの図書館から電子書籍を借りることができるようになる。先行してサービスを行っているイギリスと同じような問題に見舞われなければ、アマゾンにとってもキンドルユーザーにとっても嬉しいサービスになりそうだ。
 
 アマゾンは20日、「キンドル図書館貸し出しプログラム」を今年中に開始すると発表、全米1万1000カ所以上の図書館で利用可能になるという。

 全米図書館協会のロベルタ・スティーブンス会長はこの新サービスを「当然の帰結」と、ニューヨークタイムズ紙に語っている。「驚きはしない。これまで書籍市場で大きなシェアを占める図書館を無視していたほうがおかしい」

 だがイギリスでは先月、大問題が持ち上がったばかり。大手出版社のハーパーコリンズが突如、1冊あたりの貸し出し回数は最大26回と制限をかけてきたのだ。英ガーディアン紙によれば、怒った図書館員たちは今ハーパーコリンズの本の不買運動を呼び掛けている。

 英図書館員・情報専門職協会のフィル・ブラッドリー副会長はブログで「何とばかげた、後ろ向きな動きだろう」と批判している。「直接被害を受けるのは、図書館の利用者。電子書籍が借りづらくなり、本を読む機会が失われるかもしれない。さらに、出版社がいつでも好きなときにルールを変えられるとなれば、図書館側は電子書籍の購入を躊躇するようになるだろう」

急増する電子書籍の貸し出し件数

 アメリカでは、借りた本はアマゾンのキンドルだけでなくキンドルのソフトウェアを搭載したiPadやアンドロイドの携帯端末でも読むことができるようになる。

 サービスの内容は、既に図書館貸し出しサービスを始めているソニーリーダーやバーンズ&ノーブルのヌックと同様のものになるだろう。ただし新しい特徴もある。ユーザーは電子書籍の余白にメモを書いたり、どこまで読んだかを複数のデバイスで共有できる「ウィスパーシンク」を使ったり、再度借りるときのために最後に読んだページに印を付けておくこともできる。

 利用したい図書館の会員であれば、誰でも借りられる。図書館のウェブサイトを通じて電子書籍をダウンロードし、最大3週間の貸し出し期間が過ぎれば自動的に消去される。

 全米図書館協会の最新の調査によると、全米の公立図書館で電子書籍の貸し出しを実施しているのは72%で、アメリカの成人で電子書籍リーダーを持っているのは5%だという。

 ほとんどの図書館では、全体の貸し出し件数に占める電子書籍の割合は小さい。しかし急速に拡大しているのも事実だ。シカゴ公立図書館では、09年に1万7000件だった電子書籍の貸し出し件数が、10年には3万6000件以上にまで倍増している。

GlobalPost.com特約)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、和平協議で領土問題含む主要議題協議へ=大統

ワールド

ロシア、ナワリヌイ氏毒殺改めて否定 欧州主張「虚偽

ワールド

中国のロシア産原油輸入、2月は過去最高へ インド買

ワールド

アングル:トランプ氏のバッド・バニー批判、中間選挙
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活動する動画に世界中のネット民から賞賛の声
  • 4
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 9
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 10
    世界市場3.8兆円、日本アニメは転換点へ――成長を支え…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 8
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中