「汗をかく」宇宙船が宇宙ゴミを減らす...宇宙船・ロケットの再利用性を高める新しい冷却技術
Cleaning Up the Cosmos

これまでのロケット打ち上げで発生した宇宙ごみは1億3000万個を超える JOHAN63/GETTY IMAGES
<使い捨てだった宇宙船を迅速に再利用できるようになれば、宇宙旅行の費用も抑えられる?>
初の人工衛星が打ち上げられた1957年以来、6500件以上のロケット打ち上げが成功した。欧州宇宙機関(ESA)の推計では、そこから発生した宇宙ごみは1億3000万個を超えている。
世界で最も陸地から遠い海洋地点である南太平洋の「ポイント・ネモ」は、運用を終えた宇宙船が落下させられる地点になっており、「宇宙の墓場」と呼ばれる。地球軌道上を漂うもっと小さな宇宙ごみは、大気圏に突入すると大抵は地上に到達する前に燃え尽きる。
最近まで多くの宇宙船は、一回きりの使い捨てだった。最も寿命が長かった宇宙船のスペースシャトル・ディスカバリーでも、84年の運用開始から2011年の引退までに39回しか飛行していない。
そこで米テキサスA&M大学の航空宇宙工学科の研究チームが開発を進めているのが、宇宙船を再利用しやすくするための高熱に耐える新しい技術だ。宇宙旅行の一般化を目指す米キャノピー・エアロスペース社と提携したプロジェクトで、米空軍から170万ドルの助成金を受けている。
「大気圏に再突入した宇宙船の周りの空気は、1万度を超えるほどの高温になる」と、同学科のハッサン・サアド・イフティ助教は言う。「宇宙船の過熱を防ぐ遮熱板が必要になるが、これは完全には再利用できない。ミッション完了後に交換するか改修する必要があり、そのため宇宙旅行の費用は天文学的な数字になっていた」