「答え」より「気づき」がほしいあなたへ...自己理解を促すAIコーチ「AIMY」

2025年3月28日(金)14時00分
菊池大介

──逆に、従業員が何か悩みや不安を抱えているとき、上司よりもAIのほうが相談しやすいのではないかと感じます。そうした意味で、AIである「AIMY」ならではの強みには、どのようなものがありますか?

大塚 ご指摘の通り、近年では特に若手社員の方々が、上司よりもAIのほうが安心して話せると感じる傾向があります。実際に、AIを「より公平な聞き手」として認識しているというレポートも出ています。

AIMYも、まさにそのような存在として設計されています。たとえば、何を話しても否定されることがないという心的安全性が保たれた対話環境は、ユーザーの「本心」を引き出しやすいものになります。

こうした対話を通じて、「自分の本当の思いはここにあったのか」といった気づきが生まれることも少なくありません。言葉にして初めて理解できる感情や考え方が、AIとのコーチングの中で明らかになるのです。

ただし、企業側がその内容にアクセスできてしまうと、「本心」での対話が成り立たなくなります。そこで私たちは、AIMYとユーザーの対話内容は、企業側には開示しないという方針を徹底しています。これはすべてのコーチングに共通する「本人とコーチの間に閉じた対話」を守るためでもあります。

そのため、企業側には直接的な内容ではなく、コーチングの結果として見えてくる客観的な行動変化──たとえば発言が変わった、行動に変化が見られたといった客観的な変化をしっかりと捉えていくことが大切だと考えています。

──企業にとっては、従業員がきちんと成長しているかどうかも気になるところだと思います。そうした成果やフィードバックは、どういった形で企業側に提供しているのでしょうか?

大塚 弊社では、導入企業の人事担当者やプロジェクト管理者の方向けに、専用のダッシュボードを提供しています。そこでは、個人を特定しない形で集計したデータをご覧いただけるようになっています。

たとえば、各コーチングセッション後には、受講者の満足度をヒアリングしており、「今回のセッションは有意義だったか」といったフィードバックを定期的に収集しています。誰が何回受講したかといった基本的な情報も確認できます。

また、CoachHubでは「コーチング・フレームワーク」と呼ばれる独自の評価指標を用意しています。リーダーシップやコミュニケーション力、自分らしさなど、約30種類のソフトスキル項目をもとに、受講前後での行動変容を自己評価・他者評価の両面から測定しています。

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