最新記事
考古学

簡単?難しい? 発見から48年、AIのおかげで判明した古代イラン「世界最古のボードゲーム」のルールとは?

2025年3月26日(水)12時02分
アリストス・ジョージャウ(科学担当)
イラン青銅器時代のボードゲーム

ボードゲームのルールは約半世紀にわたり謎だった CM DIXONーPRINT COLLECTOR/GETTY IMAGES

<20個の正方形が並ぶ「ヘビがモチーフ」のボードに彫刻が施された27個のコマとサイコロが入ったバスケット。どんな遊び方だった?──>

世界最古の1つともいわれる4500年前のボードゲームのルールが、ついに解明された。

【動画】簡単?難しい?古代ゲームのルール解説動画、AI相手に実際にプレーできるサイトも

英ペルシャ研究専門誌「Journal of the British Institute of Persian Studies」に掲載された研究によると、イラン東部にある青銅器時代の遺跡シャフリソフタの墓で見つかったゲーム盤の法則を突き止めたという。


墓に眠る人物の頭部のそばから、木製のゲーム盤と彫刻が施された27個のコマ、サイコロが入ったバスケットが発見されたのは1977年のこと。

ゲームは完全なセットと思われ、放射性炭素の研究で紀元前2600~2400年頃のものと判明していた。大英博物館に所蔵されている、メソポタミア起源の「ウル王朝のゲーム(Royal Game of Ur)」と同時代のものとされる。

最新研究では、ボードと全てのコマを徹底的に調査。20個の正方形が並ぶボードに描かれているのはヘビのモチーフとされ、方向や終点などを意味しているようだ。AIを用いてパターンを分析したところ、ウルのゲームより少々複雑なルールが導き出された。

実際のプレーヤーでテストし、ウルのゲームと比較すると、より運に左右されにくい、バランスの取れたゲームだと判明。研究者は「より戦略的で、繰り返しが少なく、プレーヤーに一層の緊張感と達成感をもたらす」と言う。

発見から半世紀近く、AIの助けで解明されたこのゲームは、古代の娯楽を理解するキープレーヤーになりそうだ。

<参考文献>
Analysis of the Shahr-i Sokhta Board Game with 27 Pieces and Suggested Rules Based on the Game of Ur

企業経営
ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パートナーコ創設者が見出した「真の成功」の法則
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏の成長は予想上回る、金利水準は適切=ECB

ワールド

米「ゴールデンドーム」計画、政府閉鎖などで大幅遅延

ビジネス

12月米利下げ予想撤回、堅調な雇用統計受け一部機関

ワールド

台湾、日本産食品の輸入規制を全て撤廃
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 9
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中