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広島・因島の造船技術がアフリカを救う?...「もみ殻」燃料で見えた新たなビジネスの可能性

CAN SHIPBUILDING TECHNOLOGY SAVE AFRICA?

2025年5月27日(火)14時11分
宇佐見靖子(ライター)

潮目が変わったのは13年、国際協力機構(JICA)の事業に採択され、タンザニアでの現地調査を手掛けてからだ。

当初、地方の中小企業がアフリカで事業展開するなど想像できず、まずはトライしてみようという気持ちだった。しかし上杉はタンザニアの地を訪れ、トロムソの事業の可能性は大きいと実感した。


グラインドミルで製造したもみ殻固形燃料「モミガライト」の1キロ当たりの発熱量は4000キロカロリーで、薪1キロとほぼ同じだが、燃焼時にCO2を排出しない。

薪用の森林伐採が深刻な環境問題であり、コメの生産も盛んなアフリカでは、もみ殻を活用した燃料の需要は大きいと確信。今ではタンザニアなど5カ国でグラインドミルの導入が進む。

バイオ炭で収穫量2割増

さらにトロムソは現在、もみ殻のほか、カカオやコーヒーの殻など農業残渣(ざんさ)を炭化させた「バイオ炭」を使った持続可能な農業にも挑戦している。田畑にまいて使うことで化学肥料の使用を削減できるだけでなく、CO2を土壌に閉じ込める効果があり、脱炭素社会の実現にも貢献できる。

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