最新記事
SDGs

廃棄予定だった「牛の尿」を資源として再利用、地球の課題を解決?

Upcycling Cattle Urine

2025年4月1日(火)10時45分
酒井理恵(ライター)
廃棄予定だった「牛の尿」を資源として再利用、地球の課題を解決?

豊かな水源や森林に恵まれた北見市では乳用牛や肉用牛の飼育が盛ん COURTESY OF KANKYO DAIZEN

<「地域の厄介もの」だった牛の尿が、今や環境保全に役立つ存在に。北海道北見市の企業が牛の尿から消臭剤を製造。災害支援物資として被災地にも届けられている>

全国の約6割を占める乳用牛を飼育する酪農王国・北海道。都府県の需給を支える役割を担う一方、そのふん尿は強い悪臭を放ち、生態系にも影響を及ぼす厄介な存在だ。

こうした困り事を解決するとともに、ただの排泄物にすぎなかった「牛の尿」に新たな活路を見いだしたのが、酪農が盛んな北海道北見市にある小さな会社、環境大善である。

環境大善は、牛の尿由来の消臭液「きえ~る」などを製造・販売する会社だ。消臭効果試験により、同商品はアンモニア臭や腐敗臭といった悪臭成分を減少させることが明らかになっている。


自然界に存在する微生物には有機化合物を分解し、人間に有益な別の物質に変える働きをするものが存在する。同社はこの働きを利用した発酵技術で牛の尿を無害化し、抗菌効果を持つ液体を製造。悪臭を発生させる微生物(悪玉菌)の増殖を抑え、臭いの発生を止めると考えられている。

動物のふん尿や木材、生ごみなど、今まで活用されていなかった動植物由来の有機性資源は「未利用バイオマス」と呼ばれ、再生可能な資源として注目を集めている。

日本企業
タイミーが仕掛ける「一次産業革命」とは? 農家の「攻めの経営」を後押しするスキマバイトの可能性
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

東エレク、通期純利益見通しを上方修正 期初予想には

ワールド

与野党、ガソリン暫定税率の年末廃止で合意=官房長官

ワールド

米台貿易協議に進展、台湾側がAPECでの当局者会談

ビジネス

中国製造業PMI、10月は49.0に低下 7カ月連
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 9
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 7
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 8
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中