湾岸諸国の銀行、紛争深刻化なら3070億ドルの預金流出も=S&P
UAEのドバイ国際金融センター。3月11日撮影。REUTERS/Abdelhadi Ramahi/File Photo
Hadeel Al Sayegh Federico Maccioni
[ドバイ 17日 ロイター] - 中東の紛争が深刻化すれば、ペルシャ湾岸諸国の銀行から3070億ドルの預金が流出する恐れがある――。S&Pグローバル・レーティングスは最新の報告書でこう警告した。
S&Pによると、今のところ湾岸諸国の銀行から国外ないし国内の預金者が資金を大幅に引き出している形跡はなく、米国・イスラエルによるイラン攻撃開始以降もしっかりした足場を確保している。
しかし紛争が長期化する場合、地域内の銀行間で質への逃避が発生するほか、国内外の預金者による資金引き出しにつながる恐れがあるという。
S&Pが設定したストレスシナリオの下では、2025年末の預金残高に基づいた湾岸協力会議(GCC)加盟6カ国の銀行システムからの資金流出は最大で3070億ドルに達する可能性がある。
各銀行は現在、こうした資金流出の影響を吸収できる現金や中央銀行預け金の形で約3120億ドルを保有し、さらに投資資産を20%割引いた価格で売却した際に利用可能となるおよそ6300億ドルの追加的なバッファーを備えている。
そのためS&Pは「全体的にリスクは管理可能だ」と分析。GCC加盟6カ国中4カ国は銀行システムに強固な支えがあるとみなされており、情勢が不穏化して以来当局も監督を強化していると付け加えた。
一方S&Pは、各銀行のローン債権全体への影響が顕在化するには時間がかかるとみており、物流や運輸、観光、不動産、小売、接客が最も影響を受けやすいセクターに含まれると指摘した。
不良債権が50%増加するか、あるいは融資残高に対する不良債権比率が7%に達するか、より大きな方を想定した「高ストレスシナリオ」では、地域の主要45行に生じる累積損失は約370億ドルに膨らむ可能性があると見込んだ。
それでもS&Pは、GCC加盟国の銀行は、比較的強固な経営基盤を維持した状態でストレス局面に入っているとの見解を示した。
規制当局が2020年のコロナ禍の際に銀行が貸倒損失を吸収するための措置を講じた点を挙げて、状況が悪化すれば同じような対応が実施されると予想している。





