最新記事
環境

大量の子ガメが車に轢かれ、人間も不眠症や鬱病に...知られざる「光害(ひかりがい)」の影響とは?

To Fix Light Pollution

2024年12月19日(木)14時02分
岩井光子(ライター)

ケルビンは、光の色温度を科学的な数値で表す単位だ。炎の色温度に似ていて、赤みのある暖色系の色合いが低く、青白い寒色系のものほど高くなる。基準の3000K以下となると、現在主流の白光のLEDは3500〜5000Kほどになるので、ほぼ基準外の数値に当たる。

日本でも街灯をはじめ、道路灯や防犯灯、信号機などのLED照明への切り替えは着実に進んでいる。ただし省エネや長寿命、環境対策の側面が強調される一方で、昼間のような白光が星の見え方のほか、人間や生態系に与えるデメリットについてはあまり語られてこなかった。


神津島村は、こうした条件に合う照明の開発を岩崎電気(本社・東京都中央区)に依頼。同社は照明を取り付ける角度を従来の斜めではなく、水平に改良して光の拡散を防ぎ、色温度も2700Kと基準内に抑えた屋外灯を製作した。

付け替え後は、路面の明るさを維持しながらも、四方に反射していた光がすっきり抑えられた。

神津島村の光害対策前の街灯

神津島村、街灯を見直す前の様子 COURTESY OF KOZUSHIMA TOURISM ASSOCIATION

神津島村の光害対策街灯

街灯の明るさを見直した東京都神津島村。観光と環境配慮の両立を目指す COURTESY OF KOZUSHIMA TOURISM ASSOCIATION

光害については、フランスやスロベニアなどで既に夜間照明を綿密に規制する法制度が整備されている。しかし日本は「環境省のガイドラインはあるが強制力はなく、JIS基準でもまだ光害の観点は十分整理されていない状況」と、越智は語る。

光害の認知を高めることが対策の第一歩だが、星空保護区は興味関心を引きやすく、日本の光害対策を加速させる可能性を秘めている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

再送-タイのシリキット王太后が93歳で死去、王室に

ワールド

再送-トランプ米大統領、日韓などアジア歴訪 中国と

ビジネス

アングル:解体される「ほぼ新品」の航空機、エンジン

ワールド

アングル:汎用半導体、供給不足で価格高騰 AI向け
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...装いの「ある点」めぐってネット騒然
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月29日、ハーバード大教授「休暇はXデーの前に」
  • 4
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 5
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 6
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 7
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 10
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中