最新記事
環境

大量の子ガメが車に轢かれ、人間も不眠症や鬱病に...知られざる「光害(ひかりがい)」の影響とは?

To Fix Light Pollution

2024年12月19日(木)14時02分
岩井光子(ライター)

現在、国内の星空保護区は神津島村のほか、沖縄県石垣市・竹富町の西表石垣国立公園、岡山県井原市の美星町、福井県大野市の南六呂師エリアと計4カ所ある。

神津島村や井原市などは保護区認定に合わせて光害防止条例も制定し、観光と地域社会や生態系を守る光害対策を両立させる先進地だ。


9月に東京ビッグサイトで開かれたツーリズムEXPOでは3カ所の星空保護区が集い、連携協議会が発足した。認定に向けて水面下で活動中の自治体も増えているといい、こうした横の連携は今後、認知向上の推進力となりそうだ。

再考すべきは明かりの質

神津島観光協会の覺正恒彦は「EXPOでも光害対策の照明などは想像以上に関心を集めた。島に赴任してきた先生が保護区認定の経緯に関心を持ってくれたり、総合学習で星を取り上げてくれたり、観光だけでなく、教育分野にも携わるようになったのは変化の1つ。協会の仕事にも広がりが出ている」と語る。

光害の実態を知ると、夜の照明の見方は百八十度変わる。だが、ただ暗くすればいいという単純な話でもない。

越智は「照明は私たちの生活になくてはならない存在だ。大事なのは質を考慮すること」と指摘し、こう続ける。「『控えめで均質な質の良い明るさ』や『周囲と調和した質の良い暗さ』をつくり、良好な光環境を省エネルギーで実現させることが大切だ」

ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ベトナム、精製レアアース輸出を規制 国内産業支援で

ビジネス

プラダがインド製サンダル発売へ 文化盗用での炎上で

ワールド

英国でインフル変異株大流行、医師が「最悪の事態」を

ワールド

対米関税交渉、年内完了へ 代表団近く訪米=インドネ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 4
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 5
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 6
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 7
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 8
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中