最新記事
BOOKS

20円の物を収蔵し、100万円の物を収蔵しない? 国立民族学博物館の収蔵庫で考えた「物の価値」とは【民博特集3/4】

2025年9月30日(火)10時30分
ミンパクチャン

「資産価値という意味では、あまり金銭的な価値を付けられないものもありますし、資産価値を基準に資料を収集しているわけではありません。資料は破損などの事故に備えて保険をかけるんですが、その登録もけっこう大変なんですよ」

保険をかけるとき、研究者が集めてきた資料の場合はその購入金額、寄贈品ならば評価金額を登録しなくてはならない。評価が困難な場合は、過去の同様の物の登録方法や市販されている場合の価格を参考に評価基準額を設定する。


「物の金額って難しいですよね。どう評価していいかわからない物がけっこうあります。それに、当時は100円で買った物が、いまでは入手困難で高価格になっているという場合もありますしね」

世界中の人々の暮らしに関連したものを収集する。しかし、何かしらの基準を設けなければきりがない。収集するときの価値判断基準として、「モノに情報が付いていること」が重視されると末森先生は言う。

民博には寄贈の申し出も多い。収蔵の問題もあるので、断ることも多いのだが、受け入れの判断基準として、まず「情報がちゃんと付いているか」が問われる。美術館や宝物殿ではないので、美しい物や素晴らしい物、あるいは古い物でも情報がなければ受け入れない。逆に言えば、20円の物であっても学術的に意味があれば受け入れる。受け入れの際には、なぜその資料を受け入れるかを記した書類を研究者が作成する。

減りゆく収集、増え続ける責任

あらゆる道具は何らかの意味、つまり価値があるから道具として存在している。しかし、その道具に情報があるかないかが、今後に残していくうえで差を生む。どこで、いつ、誰によってつくられ、どこで、誰によって使われていたのか、どういう経緯で入手され、どこに保管されていたのか?

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:戦闘で労働力不足悪化のロシア、インドに照

ワールド

アングル:フロリダよりパリのディズニーへ、カナダ人

ビジネス

NY外為市場=ドル横ばい、米CPI受け 円は週間で

ビジネス

米国株式市場=3指数が週間で下落、AI巡る懸念継続
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベル…
  • 6
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外…
  • 9
    毛沢東への回帰? それとも進化? 終身支配へ突き…
  • 10
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中