最新記事
長寿

60代、70代でも性欲は衰えない!高齢者の性行為が長寿に与える影響を科学が証明

2025年8月8日(金)16時21分
和田秀樹(精神科医)*PRESIDENT Onlineからの転載

「何かに触りたい」という日本人の欲求に変化

愛情とコミュニケーションを専門に研究しているアリゾナ大学のコリー・フロイド教授は、「周囲との正常な交流がないと脳は攻撃を受けていると判断し、過覚醒という緊張状態になる」と言っています。

日本人にはあまりスキンシップをする習慣がないとはいえ、やはり他者との関わりが制限されるとストレスになり、スキンハンガーを生じる原因になります。


コロナ禍でスキンハンガーという言葉が注目されるようになったことで、NTTが東京大学と共同研究を行い、新型コロナウイルス感染拡大時に、他者、動物、物など、「何かに触りたい」という日本人の欲求に変化が生じたことを発見しました。

この研究では、ソーシャルメディアに投稿された「○○を触りたい」「○○を触りたくない」というフレーズを含むテキストデータに着目しました。

そして、これらのテキストデータを解析し、新型コロナウイルス感染拡大時に、触りたい欲求の程度がどのように変化したかを調査しました。

その結果、人や動物など生物の肌のぬくもりを求める「スキンハンガーの慢性化」が起きていることや、ドアノブなどの物への接触を避けたいという欲求が強くなっていることを発見したのでした。

スキンハンガーが慢性化しているということは、不安や心配を抱いている人がたくさんいるということですから、大きな社会問題といえます。

高齢になっても性欲が衰えないのに「言えない」という苦悩

NHKは【クローズアップ現代+】(2017年5月18日放送)で、「高齢者だってセックス『言えない』性の悩み」というタイトルで、高齢者の性の悩みについて取り上げています。

番組の冒頭で、アダルトサイトを閲覧していた75歳の男性に偽の請求が届き、約5000万円をだましとられた事件(2017年4月)を紹介。

被害者の男性はモザイクをかけた映像で出演し、「恥ずかしくて家族には相談できず、要求されるままにズルズルと何回も金を払い込んでしまった」と話していました。

また番組では、60代を超えても性欲が衰えない男性たちの声をいくつか紹介していました。

例えば、「いまだに毎日のようにアダルトサイトを見ている自分がおぞましく、滑稽である」(70歳男性)とか「『エロ親父』といわれるのがシャク」(69歳男性)等々。

60代を超えても性欲が衰えないなんて、大いにけっこうと思うのですが、当人たちにとってはそれなりの苦悩があるようでした。

また番組では、「高齢男性のセックス」に特化して売り上げを伸ばしている「壮快Z」(マキノ出版刊)という雑誌を紹介していました。

マキノ出版というのは中高年向け健康情報誌が専門の出版社ですが、この「壮快Z」は2019年に創刊され、毎号5万部を出しているそうです。

ちなみに書名の「Z」は絶倫、絶頂、絶品などの意味を表すということで、漫画家のみうらじゅんさんに命名してもらったものだそうです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国軍、台湾周辺で「正義の使命」演習開始 実弾射撃

ビジネス

中国製リチウム電池需要、来年初めに失速へ 乗用車協

ビジネス

加州高速鉄道計画、補助金なしで続行へ 政権への訴訟

ワールド

コソボ議会選、与党勝利 クルティ首相「迅速な新政権
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    アメリカで肥満は減ったのに、なぜ糖尿病は増えてい…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中