最新記事
運動

最強の筋トレは「ブリッジ」だった...健康寿命を左右する「背骨の守り方」とは?

2025年8月16日(土)09時30分
ポール・ウェイド(元囚人・キャリステニクス研究家)

この連結式の甲冑を構成するのが、高密度の椎骨(脊椎)で、この椎骨を継ぎ合わせている軟骨が椎間板だ。

このようにして、大切な脊髄を脊柱が守っているのだが、その脊柱も、靭帯のネットワークと厚い筋肉の層に守られている。それが脊椎筋であり、脊椎筋は30以上のペアになっている筋肉から構成されている。

多種ある脊椎筋は、別々に機能しながら集まって蛇のようにも見える太くて強力な2本のチューブになっていく。この筋肉群が脊柱起立筋だ。


脊柱起立筋は、筋肉でできた厚いコルセットのような役割を果たす。不慮の事故や、鋭利だったり尖ったりしている物体から脊柱(ひいては脊髄)を守る最初の防波堤になる。また、脊柱のほとんどの動きをコントロールしているのもこの筋肉群だ。

どう動いたらよいか脊柱に命じながら、脊髄を守る椎骨が、動作の許容範囲を超えないように制御している。実際、脊柱起立筋がなければ、歩いたり、立ったり、体をねじったり、体幹を動かすことができなくなる。頭を回すことさえできなくなるのだ。

脊柱起立筋は信じられないくらい重要な筋肉だ。しかし、さらに奥深くにある脊椎と比べれば、その重要性も色褪せる。脳からの命令は脊髄内を下降するので、脊椎のケガは上のほうで起こるほど影響が大きくなる。


・下部脊椎(腰部)をひどくケガした場合、脚が使えなくなり、失禁やインポテンツにつながっていく。

・背骨の中央部分(胸部)をひどくケガすると、胴体にある筋肉を制御できなくなる。

・第三頚椎(頸部)の損傷は、腕、肩、頸部の麻痺につながる。第三頚椎より高位に起こる損傷は肺に動力を与える横隔膜を麻痺させ、自発呼吸ができなくなる。

これらの症状とは別に、脊椎損傷は、筋萎縮、骨粗鬆症、神経障害性疼痛、また、血圧、体温、心拍数などの基本的な生理機能を制御できなくなることにもつながっていく。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

一段の利下げに慎重、物価に上振れリスク=米ダラス連

ビジネス

FRBの二大責務、双方に圧力=ジェファーソン副議長

ワールド

米政権、シカゴ向け資金21億ドル保留 政府閉鎖で民

ワールド

インド中銀総裁、経済の安定運営に自信 米関税や財政
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、Appleはなぜ「未来の素材」の使用をやめたのか?
  • 4
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 5
    謎のドローン編隊がドイツの重要施設を偵察か──NATO…
  • 6
    「吐き気がする...」ニコラス・ケイジ主演、キリスト…
  • 7
    「テレビには映らない」大谷翔平――番記者だけが知る…
  • 8
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 9
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 10
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 5
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 6
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 7
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中