最新記事
健康

「質のよい睡眠がとれている人」は「やや太り気味」だった...「地中海食」と「睡眠」の研究

2025年2月13日(木)11時30分
マイケル・モズリー(医師・医療ジャーナリスト)
睡眠中

WOKANDAPIX-pixabay

<医師でBBCを拠点に活躍する科学ジャーナリストが世界最先端の知見を結集した、睡眠の科学と睡眠術について>

医師でBBCを拠点に活躍する科学ジャーナリストが世界最先端の知見を結集し、「睡眠制限療法」と食事術を説く4週間で誰でも寝つきがよくなる 最速入眠プログラム(CCCメディアハウス)より「第5章 快適に眠るための食」を一部編集・抜粋。

「熟睡プログラム」と「よい眠りをもたらすレシピ」で、すっと眠りにつき、睡眠効率も一気に高める。


 
◇ ◇ ◇

地中海食と睡眠

地中海食に関する研究のほとんどは、心臓発作やがん、認知症、糖尿病といった疾患のリスクを下げる効果に焦点を当てたものだが、近年では定評のある学術誌において、地中海食が睡眠に与える影響に着目した大規模研究の成果も発表されている。

2019年5月には、イタリア人成人の食事と睡眠の質との関連性を明らかにする研究[*1]も行われれている。MEALスタディと名づけられた研究[*2]では、シチリア島の都市であるカターニア県に住む1314人の男女からデータを集めている。

研究者たちは、被験者の食事を詳細に記録し、回収した食事に関するアンケートへの回答から、被験者を4つのグループ(地中海食スコアが「低い」から「高い」まで、4つの段階)に分類した。

研究者グループが食事と睡眠の質とを比較したところ、地中海食スコアが高いグループの中で「質のよい睡眠がとれている」と答えた人は、スコアが低いグループの2倍以上になることがわかった。

しかも、睡眠時間が長いだけでなく、睡眠効率も高く、夜中に目が覚めることもあまりないというのだ。

興味深いのは、「質のよい睡眠がとれている」と答えたのは、標準体重あるいはやや太り気味の人に限られるということだ。男女問わず、肥満傾向(BMI 30以上)のある人は、健康的な食事をしていても睡眠の質は保証されていなかった。

これらの研究結果をふまえて、さらなる大規模研究[*3]が行われた。アメリカ在住の2000人の中年男性および女性を対象に、食事が睡眠に与える影響を調べたものである。この研究でも、地中海食スコアと睡眠の質とのあいだには明らかに関連性があることがわかった。

東京アメリカンクラブ
一夜限りのきらめく晩餐会──東京アメリカンクラブで過ごす、贅沢と支援の夜
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア決算に注目、AI業界の試金石に=今週の

ビジネス

FRB、9月利下げ判断にさらなるデータ必要=セント

ワールド

米、シカゴへ州兵数千人9月動員も 国防総省が計画策

ワールド

ロシア・クルスク原発で一時火災、ウクライナ無人機攻
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋肉は「神経の従者」だった
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」の正体...医師が回答した「人獣共通感染症」とは
  • 4
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 5
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 6
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    株価12倍の大勝利...「祖父の七光り」ではなかった、…
  • 9
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 8
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 9
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 10
    3本足の「親友」を優しく見守る姿が泣ける!ラブラ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中