最新記事
運動

「1日15分の運動」で健康状態が大きく改善する可能性が明らかに【最新研究】

Scientists Reveal How '15 Minute Challenge' Could Overhaul Your Health

2024年9月7日(土)10時15分
ハッティ・ウィルモス
ピラティス

Monster Ztudio-shutterstock

<体力、活力、睡眠の質、気分も改善。職場が運動促進の場として理想的な環境である理由について>

毎日15分の運動が体力、活力、健康、睡眠、そして気分に大きな影響を与える可能性があることがオーストラリア発のウェルネスプログラムで明らかになった。

オーストラリア、ニュージーランド、イギリスの73の企業に在籍する1万1575人の従業員が「15分チャレンジ」という職場の健康増進プログラムを使用し、週ごとの活動レベルを85分増やした結果、次のようなメリットが判明した。

「この研究では、1日にわずか15分の運動が人々の健康とウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)に大きな違いをもたらすことがわかりました」と代表研究者のベン・シン氏は述べる。

【関連動画】アメリカ国立老化研究所が勧める「15分間エクササイズ」 を見る


 

プログラム開始から6週間後、参加者の95%がWHOの「身体活動および座位行動に関するガイドライン」を満たす、もしくは上回る結果となった(満たした参加者が36%、上回った参加者が56%)。また、体力(14%)、活力(12%)、全体的な健康(8%)、睡眠の質(8%)、気分(7%)の改善も報告されている。

アメリカ保健福祉省(HHS)は、週に少なくとも150分(2時間30分)の中強度の有酸素運動と筋力強化運動を推奨している。

アメリカ保健福祉省(HHS)の2018年の報告書によると、アメリカの成人の約80%がこのガイドラインを満たしておらず、運動不足が年間約1170億ドル(約17兆円)の医療費増加につながっていることが指摘されている。

今回、この「15分チャレンジ」の参加者は平均して週に85分の身体活動レベルをアップさせ、1日に約45分間の運動をするようになった。

「15分という目標は、特に座りがちな生活を送っている人々にとって手軽に始めやすいものです。ハードルも低く、定期的な運動習慣をつくることに役立ちます。職場健康プログラム『15分チャレンジ』がきっかけとなり、多くの参加者がガイドラインの最低目標を超える結果となったのです」とシン氏は述べる。

また、共同研究者であるキャロル・マーハー教授は、このプログラムが参加者のモチベーションを高めることに成功した理由は、ゲームであったことと語る。

「切磋琢磨することでチームメイトを励まし、責任を持たせることが『15分チャレンジ』の肝です。それが参加者のモチベーションを高め、つながりを維持するための重要な要素です。

このプログラムでは、チームでの協力が奨励され、ランキングを追跡し、累積運動量を表示します。達成度が明確に記録され、成功を祝福し合います。人々が協力し、楽しみながら取り組めるツールなのです」

成人の多くは起きている時間の大半を仕事に費やしているため、職場は運動促進の場として理想的な環境であるとシン氏は述べる。そして先のマーハー教授は次のようにも述べる。

「運動不足の解消はすべての人の責任です。ですから雇用主が費用対効果の高いシステムを導入して従業員をサポートできれば、ウィンウィン(win-win)です。身体的に元気な従業員は生産的で満足度が高く、ストレスも少なく、病気にもなりにくくなります。このように持続的に計測できるアプリのようなものが従業員の健康とウェルビーイングをよく変えるのであれば、雇用者は検討すべきです」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指

ワールド

米との鉱物協定「真に対等」、ウクライナ早期批准=ゼ

ワールド

インド外相「カシミール襲撃犯に裁きを」、米国務長官

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官を国連大使に指名
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中